あたりまえの中に隠された感謝をパートナーと見つけ合うワーク
長年連れ添ったパートナーとの関係性
お子様が独立され、パートナーと二人きりの時間が増えたという方もいらっしゃるかもしれません。これからの人生を共にどのように過ごしていくか、改めて考え始める時期でもあります。しかし、長く一緒にいるからこそ、以前ほど会話が弾まなくなったり、お互いの存在が「あたりまえ」になってしまったりすることもあるかもしれません。
関係性は、植物を育てることによく似ています。特別な手入れをせずとも育つこともありますが、水を与え、時に肥料を与え、日々の変化に気づいて寄り添うことで、より豊かに、美しい花を咲かせることができます。パートナーとの関係性も、日々のちょっとした意識や働きかけで、さらに心地よいものへと育んでいくことが可能です。
本記事では、そんな「あたりまえ」の中に埋もれがちな、お互いへの感謝の気持ちを再発見し、伝え合うための簡単なワークをご紹介します。特別な準備は一切不要です。お二人のペースで、ぜひ試してみてください。
ワークの目的:あたりまえを感謝に変える
長く一緒にいると、パートナーがしてくれること、パートナーの存在そのものが、まるで空気のように「あたりまえ」になってしまいがちです。もちろん、それはお二人の間に安心感がある証でもあります。しかし、その「あたりまえ」の中には、実はたくさんの感謝の種が隠されています。
このワークは、その隠された感謝に光を当て、意識的に言葉にすることを目指します。「言わなくてもわかるだろう」「今さら何を」と思う気持ちがあるかもしれませんが、感謝を言葉にして伝えられることは、相手にとって大きな喜びとなり、お二人の関係に温かい光をもたらします。
デジタルツールを使ったり、難しいことを考えたりする必要はありません。必要なのは、お互いを思う気持ちと、少しの時間だけです。
簡単ワーク:あたりまえ再発見&感謝の交換
このワークは二つのステップで行います。
ステップ1:あたりまえ再発見シート
- 目的: パートナーが日々「あたりまえ」にしてくれていることや、パートナーの存在自体から感じる安心感などを意識的に見つけ出す。
- 必要なもの: 紙とペン(お一人につき一枚ずつ)
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手順:
- お一人ずつ、静かな時間を持って、パートナーが「あたりまえ」に行っていること、あるいはパートナーの存在そのものに対して感じていること(安心感、ユーモア、頼りになる一面など)を思いつくまま紙に書き出してみましょう。
- 例えば、以下のようなことを考えてみてください。
- 毎朝、淹れてくれるお茶/コーヒー
- ゴミ出しをしてくれる
- 話を聞いてくれる
- 一緒にテレビを見てくれる
- そっと隣にいてくれる
- 困ったときに助けてくれる
- 笑顔で挨拶してくれる
- おいしいご飯を作ってくれる
- 掃除や洗濯をしてくれる
- 自分の趣味や時間を尊重してくれる
- 一緒にいることで安心できる
- 自分にはない視点を持っている
- 箇条書きでも、短い文章でも構いません。誰かに見せるためのものではありませんので、気楽に書き出してください。数が多い必要はありません。まずは3つでも5つでも、心に浮かんだものを書き留めてみましょう。
- このリストは、まだパートナーに見せないでください。
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期待される効果: 普段は意識しない、パートナーの「あたりまえ」の貢献や存在の大きさに気づくことができます。感謝の気持ちの種が見つかります。
ステップ2:感謝の交換
- 目的: ステップ1で見つけた「あたりまえ」の中にある感謝の気持ちを、パートナーに具体的に伝える。
- 必要なもの: ステップ1で書いたリスト(任意)、感謝を伝える時間
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手順:
- お二人が落ち着いて話せる時間を見つけましょう。食後や就寝前など、リラックスできる時間が適しています。
- ステップ1で書き出したリストを見ながら、特にパートナーに伝えたい感謝の気持ちを一つか二つ選んでみましょう。
- 選んだ感謝について、「なぜ感謝しているのか」「それが自分にとってどんな良い影響を与えているのか」を具体的に言葉にしてみましょう。
- 例:「〇〇さんがいつも朝早く起きてお茶を淹れてくれること、本当に感謝しています。その一杯があるだけで、一日を気持ちよく始められるんです。」
- 例:「私が何か悩んでいるときに、黙ってそばにいてくれること、ありがとう。話を聞いてくれるだけでなく、ただいてくれるだけで心が落ち着くんです。」
- 例:「たまに冗談を言って笑わせてくれること、感謝しています。おかげで家の中が明るくなります。」
- 順番に、お互いに感謝を伝え合います。相手が話しているときは、ただ静かに耳を傾けましょう。感謝されたら、「ありがとう」とシンプルに受け止めるだけで十分です。
- 全てを伝え合う必要はありません。その日に伝えたいと思ったことだけで構いません。
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期待される効果: 感謝の気持ちが言葉になることで、お互いの貢献や存在が肯定され、絆が深まります。「あたりまえ」の中に感謝があることに気づくことで、日々の生活の中に小さな幸せを見つけやすくなります。会話のきっかけにもなり、温かい気持ちでお互いと向き合えるようになります。
ワークを行う上でのヒントと注意点
- 無理強いは禁物: パートナーが乗り気でない場合は、無理に行う必要はありません。まずはご自身だけがステップ1をやってみるだけでも、気づきがあるかもしれません。また、時間を置いて改めて提案してみるのも良いでしょう。
- 完璧を目指さない: 上手に言葉にできなくても構いません。大切なのは、感謝の気持ちを持ったこと、伝えようとしたその気持ちです。
- 「〜してくれない」は含まない: このワークは、相手に「もっと〜してほしい」という要望を伝える場ではありません。「あたりまえ」になっている良い点、感謝している点に焦点を当てましょう。
- 定期的に繰り返す: 一度きりで終わらせず、例えば週に一度、月に一度など、お二人のペースで定期的に行うことをお勧めします。続けることで、より自然にお互いへの感謝を感じ、伝えられるようになります。
- 記録してみるのも: 感謝されたことを簡単な言葉でメモしておくと、後で見返したときに温かい気持ちになれるかもしれません。
まとめ:あたりまえの中の輝きを見つけて
長く一緒にいるパートナーとの関係は、時として「あたりまえ」の中に埋もれてしまいがちな、かけがえのない宝物で満ちています。今回ご紹介したワークは、その宝物に改めて光を当て、お互いの存在がどれほどありがたいものかを感じ直すための、ごく簡単な方法です。
デジタルツールは必要ありません。紙とペン、そしてお互いを思う気持ちがあれば、すぐに始めることができます。あたりまえの中に感謝を見つけ、それを素直に伝え合うことで、お二人のこれからの日々が、さらに温かく、心地よいものとなることを願っています。
関係性の手入れは、特別なことではありません。日々の小さな積み重ねこそが、お二人らしい豊かな未来を創り上げていくはずです。ぜひ、できることから少しずつ試してみてください。