関係性ワークショップ

無言でも心地よい パートナーとの時間をもっと豊かにするワーク

Tags: パートナーシップ, 夫婦関係, コミュニケーション, 心地よい時間, 安心感, シニアライフ

パートナーとの時間、どう過ごしていますか?

お子様が独立され、パートナーと二人で過ごす時間が増えたという方もいらっしゃるかもしれません。これからの人生を共に歩むパートナーとの関係を、さらに心地よいものにしていきたいと感じている方もいらっしゃるでしょう。

一方で、「以前より会話が減ったな」「二人きりだと、何を話したらいいか分からない」と感じることもあるかもしれません。ついテレビを見たり、それぞれの趣味に没頭したりして、一緒にいてもそれぞれの時間を過ごしているという方もいるかもしれません。

会話が減ることは、決して悪いことではありません。しかし、「今後の人生を、もっとパートナーと共に楽しく過ごしたい」という気持ちがあるなら、少しだけ二人の時間について意識を向けてみるのも良いかもしれません。

ここでは、特別な準備は不要で、ご自宅で手軽に試せる簡単なワークをいくつかご紹介します。これらのワークは、無理に会話を増やそうとするものではなく、無言の時間も含めて、二人の関係をより豊かに、そして心地よくするためのヒントになるはずです。

無言の時間も大切にするワーク

関係性を深めるというと、たくさん会話をすることや、新しい共通の趣味を見つけることばかりを想像するかもしれません。もちろんそれらも素晴らしいですが、パートナーシップにおいては、お互いが隣にいるだけで安心できる、無言の時間も心地よいと感じられる関係もまた、非常に大切です。

これからご紹介するワークは、そんな「心地よい無言の時間」を意識し、育むためのものです。

ワーク1:二人の「心地よい沈黙」リスト作り

目的: パートナーと無言で一緒にいる時に、お互いが心地よいと感じる状況や場所を共有し、意識することで、共に過ごす時間をもっと心地よくするためのヒントを見つけます。

必要なもの: 紙(ノートやメモ帳でも)、ペン。それぞれで用意します。

具体的な手順:

  1. リストアップ(一人ずつ): それぞれが、これまでの生活の中で「パートナーが隣や近くにいて、特に会話はしていないけれど、なぜか心地よい、安心できるな」と感じた状況や場所、活動をいくつかリストアップします。思いつくままに、箇条書きで書き出してみましょう。
    • 例:「隣で読書している時」「一緒に散歩している時」「同じ部屋でそれぞれの趣味をしている時」「移動中の車の中で」「キッチンで料理しているのを見ている時」「寝る前に並んで過ごす時間」など。些細なことで構いません。
  2. リストの交換: 書き終えたら、お互いのリストを交換します。
  3. リストを読む: 相手のリストをじっくり読んでみます。「こんな時に心地よいと思ってくれていたんだ」「自分も同じように感じていたな」「これは意外だな」など、色々な発見があるかもしれません。
  4. 簡単な感想を伝え合う(無理に話さなくてもOK): リストを読んでみて感じたこと、気づいたことなどを、もし話したくなったら、簡単に伝え合ってみましょう。無理に感想を言ったり、たくさん話したりする必要はありません。「〇〇の時、心地よいって書いてくれて、嬉しかったよ」「確かに、あの時、静かだったけど安心したね」といった程度で十分です。

期待される効果:

ヒント: * 「心地よい沈黙なんてないな…」と感じる方もいるかもしれませんが、少し考えてみてください。全く会話がなくても、一緒にいるだけで落ち着く時間は本当に一つもなかったでしょうか?短い時間でも良いので、思い出してみてください。 * リストアップする際は、頭の中で考えるだけでなく、実際に紙に書き出す方が、整理できて気づきも得られやすくなります。 * このワークは、たくさん話すためのものではありません。リストを通じて、お互いの「心地よさ」を知ることが目的です。

ワーク2:二人の「安心タイム」を設定する

目的: 忙しい日常から少し離れて、ただお互いの存在を感じながら、ゆったりと過ごす時間を持つことで、二人の間に安心感と穏やかさを育みます。

必要なもの: 特になし。

具体的な手順:

  1. 時間を決める: 二人で話し合って、週に1回や数回、あるいは毎日の短い時間(例えば15分〜30分程度)を「二人の安心タイム」として設定します。
  2. 「何もしない時間」を作る: 設定した時間になったら、スマホを操作したり、家事や仕事のことを考えたりするのを一旦やめて、ただ同じ空間で穏やかに過ごします。
  3. 心地よく過ごす: この時間は、無理に会話をする必要はありません。隣に並んで座って、お茶を飲む、一緒に音楽を聴く、それぞれの本を読む、ただ窓の外を眺めるなど、それぞれが心地よいと感じることを、同じ空間で静かに行います。もし自然な形で会話が生まれたら、それはそれで良いでしょう。
  4. 感謝の気持ちを意識する: もし可能であれば、この時間の終わりに、心の中で「隣にいてくれてありがとう」といった感謝の気持ちを意識してみると、より効果的かもしれません。

期待される効果:

ヒント: * 最初は短い時間から始めてみましょう。毎日続けるのが難しければ、週に一度でも構いません。 * 場所を変えてみるのも良いでしょう。リビングだけでなく、ベランダやお庭、静かなカフェなど、二人がリラックスできる場所を選んでみてください。 * この時間は「何もしてはいけない」と構えすぎず、「ただ一緒にいる時間」として気軽に捉えましょう。

ワーク3:言葉にしない「感謝のジェスチャー」交換

目的: 日頃の感謝や愛情を、言葉だけでなく、簡単なジェスチャーや行動で伝え合う方法を共有し、実践することで、関係性に温かさを加えます。

必要なもの: 特になし。

具体的な手順:

  1. ジェスチャーを考える: それぞれが「パートナーに、言葉以外で感謝や愛情を伝えたい(あるいは、伝えられたら嬉しい)ジェスチャーや行動」をいくつか考えてみます。日頃の生活の中でできる、小さなことで構いません。
    • 例:「肩を優しくポンと叩く」「温かい飲み物を何も言わずに差し出す」「ブランケットをそっとかけてあげる」「目が合った時に微笑む」「手伝ってくれた後に軽く会釈する」など。
  2. リストを共有する: 考えたジェスチャーや行動を、お互いに伝え合います。書き出す形でも、口頭で伝え合う形でも良いでしょう。
  3. 実践してみる: 日々の生活の中で、意識的に相手のリストにあるジェスチャーや行動を実践してみましょう。そして、もし相手があなたのリストにあるジェスチャーをしてくれたら、それに気づき、感謝の気持ちを心の中で、あるいは簡単な合図(微笑むなど)で返してみましょう。
  4. (任意)感想を共有する: 後日、このワークを実践してみて感じたことなどを、もし話したくなったら共有してみるのも良いでしょう。

期待される効果:

ヒント: * あまり複雑なことや大げさなことではなく、日常生活で自然にできるような簡単なジェスチャーを選びましょう。 * 相手が喜びそうなこと、自分がしてもらって嬉しいことを想像しながら考えてみてください。 * されたら素直に受け取りましょう。無理に大げさな反応をする必要はありません。

ワークを行う上での大切なヒント

まとめ:心地よい時間を積み重ねて

会話が弾むことはもちろん素晴らしいですが、無理に言葉を交わさなくても、ただ隣にいるだけでお互いの存在に安心できる時間も、同じくらい大切です。今回ご紹介したワークは、そんな「無言でも心地よい時間」を意識的に作り、二人の関係性の基盤となる安心感を育むための一歩となるでしょう。

関係性は生き物のように変化していくものです。お子様の独立というライフイベントは、二人の関係性を見つめ直し、これから先の人生をどのように共に歩んでいくかを考える良い機会かもしれません。焦らず、お互いを大切に想いながら、二人のペースで心地よい時間を一つずつ積み重ねていってください。そうすることで、きっとこれからの人生が、より豊かで穏やかなものになっていくはずです。