パートナーと「今日、心に響いたこと」を伝え合うワーク
パートナーと「今日、心に響いたこと」を伝え合うワーク
導入
パートナーとの関係は、人生の長い道のりを共に歩む上で、かけがえのないものです。お子様が独立されるなど、ライフステージの変化を経て、パートナーと二人きりで過ごす時間が増えたという方もいらっしゃるでしょう。そんな時、「会話が以前ほど弾まない」「何を話したら良いか分からなくなってきた」と感じることがあるかもしれません。
しかし、それは決して特別なことではありません。長年連れ添ったパートナーとの関係は、言葉を交わさなくても分かり合える安心感がある一方で、意識的にコミュニケーションを取らないと、お互いの内面や日々の変化が見えにくくなることもあるからです。
これからの人生を、パートナーと心穏やかに、そしてより豊かな気持ちで過ごすためには、お互いの存在を改めて大切に感じ、関係性を心地よいものに育んでいくことが重要です。それは、特別な出来事だけを共有することではなく、日々の暮らしの中で起こる小さな出来事や、それに対してご自身がどう感じたのかを共有することから始まります。
この記事では、パートナーとの日々の会話に温かさと深みを加え、お互いの理解を深めるための、簡単で心に寄り添うワークをいくつかご紹介します。デジタルツールの操作が苦手な方でもすぐに実践できるよう、特別な準備や高度なスキルは不要です。これらのワークを通して、パートナーと心を通わせる時間が増え、これからの人生を共に歩む上での大切な絆を育んでいくことができるでしょう。
日々の会話を豊かにする簡単ワーク
ここでは、パートナーとの日常会話に温かさと深みを加えるためのワークをご紹介します。どれも、普段の生活の中で気軽に取り入れられるものです。
ワーク1: 「今日の心に響いたこと」シェアワーク
このワークは、日常の些細な出来事や、それに対するご自身の感情や気づきをパートナーと共有することを目指します。表面的な出来事の報告だけでなく、「なぜそれが心に響いたのか」という内面に触れることで、お互いの価値観や感じ方をより深く理解するきっかけになります。
- 目的: 日々の出来事を通じて、お互いの内面(感情、気づき、感動など)を共有し、理解を深める。会話の新たな糸口を見つける。
- 必要なもの: 特になし。必要であれば、簡単なメモを取るためのノートやペンなど。(デジタルが苦手な方は手書きメモがおすすめです)
- 具体的な手順:
- 時間を決める: 一日の終わりに、夕食後や寝る前など、パートナーと二人で落ち着いて話せる時間を決めましょう。毎日行えなくても、週に数回など、無理なく続けられるペースで構いません。
- 話す人・聞く人を決める: 最初はどちらから話すか決めます。交代で話すようにします。
- 心に響いたことを話す: 一人ずつ、「今日、一番心に響いたこと」について話します。それは、嬉しかった出来事、驚いたこと、感動した景色、誰かの親切、ふとした発見など、大小問いません。なぜそれが心に響いたのか、その時どう感じたのかを言葉にしてみましょう。(例:「帰り道に満開の桜を見かけて、すごく心が安らぎました」「パート先で若い人に優しく声をかけられて、気遣いが嬉しかったです」「テレビで昔の映像を見て、若い頃の自分たちを思い出して懐かしい気持ちになりました」)
- 耳を傾ける: 聞く側は、相手の話を最後まで静かに聴きます。途中で口を挟まず、相手の言葉に耳を傾け、理解しようと努めます。相槌を打ったり、うなずいたりするのは良いでしょう。
- 共感を伝える: 話し終えたら、聞いている側は短い感想や共感を伝えます。「それは素敵ですね」「そういう風に感じたんですね」など、相手の気持ちに寄り添う言葉が良いでしょう。相手の話の内容を評価したり、すぐに自分の意見を述べたりするのは避けましょう。
- 交代する: 一人が話し終えたら、役割を交代してもう一人が話します。
- 期待される効果: パートナーの「今」の気持ちや考えを知ることができます。日常の小さな出来事の中に潜む二人の共通点や違いに気づけます。お互いの感情に寄り添うことで、共感や安心感が生まれます。日々の会話のきっかけが増え、話が弾みやすくなります。
- ヒント:
- 最初は数分でも構いません。無理なく続けられる時間で行いましょう。
- 話すのが苦手な場合は、事前にメモに書き出してみるのも良い方法です。
- ネガティブな出来事や感情でも構いません。大切なのは、それを共有し、受け止める姿勢です。
ワーク2: 「五感で感じたこと」シェアワーク
私たちの日常は五感(見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる)でいっぱいです。しかし、普段は意識せずに過ごしていることが多いかもしれません。このワークでは、意識的に五感で感じたことを共有することで、日々の生活に新しい気づきと会話の種を見つけます。
- 目的: 日常生活の中で五感を使って感じたことを共有し、お互いの気づきや感じ方を分かって会話を広げる。
- 必要なもの: 特になし。
- 具体的な手順:
- 時間を決める: ワーク1と同様に、落ち着いて話せる時間を選びます。
- 五感の気づきを話す: 一人ずつ、今日一日の中で五感を使って「おや?」と感じたこと、印象に残ったことを話します。(例:「朝、庭の木に鳥が来て鳴いている声が聞こえて、なんだか嬉しかった」「スーパーで売っていた果物の色がすごく鮮やかだった」「今日の味噌汁はいつもより出汁の香りが良かった気がする」「外を歩いていたら、ふと金木犀の香りがして秋を感じた」「新しいタオルがふわふわで気持ちよかった」)
- 耳を傾け、共感する: パートナーの話を興味を持って聴き、共感や感想を伝えます。
- 交代する: 役割を交代して行います。
- 期待される効果: 日常の中に隠れた「小さな幸せ」や「発見」を再認識できます。お互いがどんなことに気づきやすいのか、どんなことに心を動かされているのかを知ることができます。いつもと違う視点からの会話が生まれ、新鮮さを感じられます。
- ヒント:
- 無理に全ての五感を網羅する必要はありません。一つでも二つでも、印象に残ったことを話してみましょう。
- 具体的な描写を加えて話すと、聞く側もイメージしやすくなります。
ワーク3: 「二人だけの小さなニュース」共有ワーク
このワークは、世間話や出来事の報告だけでなく、お互いの内側で起こった「小さな変化」や「考えの動き」を共有することに焦点を当てます。まるで二人だけに配信されるニュースのように、普段見えにくい内面の世界を伝え合います。
- 目的: お互いの内面的な変化や、あまり話さないような個人的な気づきを共有し、より深いレベルでの相互理解を促す。
- 必要なもの: 特になし。
- 具体的な手順:
- 時間を決める: 落ち着いた時間に行いましょう。
- 小さなニュースを報告: 一人ずつ、「今日の二人だけの小さなニュース」として、自分の中で起こった内的な変化や、印象に残った考え、発見などを報告します。(例:「あの時、パートナーが〇〇と言ったのは、こういう気持ちだったのかなと、今になって気づきました」「昔は苦手だった〇〇が、最近少し気になってきたんです」「〇〇について、前はこうだと思っていたけど、今日こういう話を聞いて、少し考えが変わったかもしれません」)
- 聴き、受け止める: 聞く側は、相手の内面からの報告として、真摯に耳を傾けます。評価したり、すぐに意見を述べたりせず、まずは「そうだったんですね」「そういう風に感じているんだな」と受け止める姿勢を大切にします。
- 交代する: 役割を交代して行います。
- 期待される効果: パートナーの普段見えない内面や考え方の動きに触れることができます。お互いの人間的な深みを知り、より一層相手を身近に感じられるようになります。信頼関係が深まり、安心して自分の気持ちを話せる関係性が育まれます。
- ヒント:
- これは「事実報告」ではなく、「自分の心の中の動き」を伝えるワークです。日記の一節を共有するような気持ちで話してみましょう。
- 話す側も聞く側も、お互いのペースを尊重することが大切です。
ワークを行う上でのヒントと注意点
これらのワークをスムーズに、そして効果的に行うために、いくつかのヒントと注意点があります。
- リラックスできる雰囲気で: 硬く考えず、お茶を飲みながらなど、リラックスできる時間と場所を選んで行いましょう。
- 「聴く」ことに集中する: 相手が話している間は、「どう返事をしようか」と考えるのではなく、相手の言葉や声のトーンに意識を集中し、「聴く」ことを大切にしてください。
- 否定やアドバイスはしない: 相手が話したことに対して、すぐに否定したり、「〜すべきだよ」といったアドバイスをしたりするのは控えましょう。まずは相手の気持ちに寄り添い、受け止める姿勢が重要です。
- 完璧を目指さない: 最初はうまくいかないと感じることもあるかもしれません。でも、完璧を目指す必要はありません。少しずつ、二人のペースで続けていくことが大切です。
- 無理強いはしない: パートナーが乗り気でない時に無理強いするのは逆効果です。相手の気持ちを尊重し、別の機会に誘ってみるなど柔軟に対応しましょう。
- 感謝を伝える: ワークが終わった後、「話してくれてありがとう」「聴いてくれてありがとう」と、お互いに感謝の気持ちを伝えるのも良い習慣です。
まとめ
ご紹介したワークは、どれも日々の暮らしの中で簡単に取り入れられるものばかりです。これらのワークを続けることで、パートナーと「今日」という一日を、そしてご自身の内面を共有する時間が増え、自然と会話が弾むようになるでしょう。
お互いの小さな気づきや心に響いた出来事を伝え合うことは、パートナーをより深く理解し、共感する機会を与えてくれます。それは、お二人の関係性をより温かく、豊かなものへと育てていくことに繋がります。
これからの人生を、パートナーと二人で心地よく、そして楽しく過ごすために、ぜひこれらのワークを試してみてください。小さな一歩が、お二人の未来をさらに輝かせるきっかけとなるはずです。応援しています。