二人で過ごす『心地よい休息時間』を見つけるワーク
子供たちが独立し、パートナーと過ごす時間が増えたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。これからの人生を二人でどのように過ごしていくか、それは同時に、二人の関係性を改めて考える大切な機会でもあります。
しかし、いざ二人きりの時間が増えてみると、「何を話したらいいか分からない」「以前より会話が減った気がする」といったお悩みを抱えることもあるかもしれません。特別なことをするわけではないけれど、お互いが無理なく、心穏やかに過ごせる時間を作りたい。そんな時に役立つのが、二人で「心地よい休息時間」を見つけるためのワークです。
この記事では、パートナーと一緒にお互いの心地よさについて理解を深め、これからの二人の時間をより豊かにするための簡単なワークをご紹介します。特別な準備は必要ありません。紙とペンがあれば、すぐにでも始めることができます。
なぜ今、「心地よい休息時間」が大切なのか
人生の後半を共に歩む上で、体力やライフスタイルは変化していきます。若い頃のように活動的に過ごすことも素晴らしいですが、それと同じくらい、心身を休ませ、穏やかに過ごす時間も大切になってきます。
「心地よい休息時間」とは、ただ何もしない時間ではありません。それは、お互いがリラックスでき、心が満たされ、明日への活力を養えるような質の高い時間のことです。この時間をお互いにとってより良いものにしていくことは、日々の暮らしの満足度を高め、二人の関係性をさらに温かいものにしていくことに繋がります。
これからご紹介するワークは、お互いの「心地よい」と感じる感覚を知り、それを二人の時間に取り入れていくためのものです。会話が弾まないと感じている方も、このワークを通して新しい発見や、一緒に楽しめることを見つけるきっかけになるかもしれません。
ワーク1:『わたしの心地よい休息時間』を知る
まずは、ご自身の心地よさについて考えてみましょう。自分がどんな時に「ホッとする」「心が安らぐ」「力が抜けてリラックスできる」と感じるのかを知ることは、パートナーとの関係をより良くするための第一歩です。このワークは一人で行います。
目的: ご自身が心身ともにリラックスできる、心地よい休息時間について深く理解すること。
必要なもの: 紙、ペン
手順:
- 静かで落ち着ける場所で、一人の時間を作ります。
- 紙に「わたしの心地よい休息時間」と書き出します。
- 最近の日常生活を振り返り、「あぁ、なんだかホッとするな」「気持ちが落ち着くな」と感じた瞬間をいくつか思い出してみましょう。
- 思い出した瞬間について、以下の点を具体的に書き出してみてください。
- それはいつのことでしたか?(例:先週の金曜日の午後)
- どんな状況でしたか?(例:リビングの窓辺で、温かいお茶を飲みながら、雨の音を聞いていた時)
- 何をしていましたか?(例:特に何もせず、ただ外を眺めていた)
- その時、どのように感じていましたか?(例:心がじんわり温かくなった、肩の力が抜けた、時間がゆっくり流れているように感じた)
- その心地よさに関係していると思うことは何ですか?(例:静かな環境、温かい飲み物、雨の音、一人でいられたこと、好きな場所、特定の匂いなど)
- いくつかの瞬間を振り返ってみると、ご自身の「心地よい休息時間」に共通する要素やパターンが見えてくるかもしれません。それらをまとめて書き出してみましょう。(例:「静かな環境」「温かい飲み物」「自然を感じる」「一人でぼーっとする時間」など)
期待される効果: ご自身が何を心地よいと感じるのかが明確になります。自分自身を大切にする時間を持つことの重要性に気づけます。
ワーク2:『お互いの心地よい休息時間』をシェアする
ワーク1でご自身が発見した「心地よい休息時間」について、パートナーと分かち合う時間です。お互いの内面を知る貴重な機会となります。
目的: パートナーがどんな時に心地よい休息を感じるのかを知り、理解を深めること。
必要なもの: ワーク1で書いた紙、お互いの話を聞く時間
手順:
- お互いに、ワーク1で書き出した内容を順番にシェアします。どちらから話しても構いません。
- 相手が話している間は、スマートフォンを置くなど、話に集中できる環境を整えましょう。
- 相手の話を、評価したり意見を挟んだりせず、まずは「聴く」ことに徹してみてください。
- 話が終わったら、「そうだったんだ」「その時、どんな気持ちになったの?」など、興味を持って質問をしてみましょう。相手の話の背景や感情をさらに深く理解することに繋がります。
- お互いの話を聴き終えたら、少し感想を話し合ってみましょう。「〇〇さんが静かな時間を大切にしているのは知らなかったな」「意外と△△なことに心地よさを感じるんですね」など、発見があったことや感じたことを伝えてみます。
- お互いの「心地よい休息時間」に、共通点や違いがあったかについても話してみても良いでしょう。違いがあっても、「そういう感覚もあるんだね」と尊重する姿勢を大切にしてください。
期待される効果: お互いの内面や価値観に対する理解が深まります。普段の会話では出てこないような話題で、自然に会話が弾むきっかけになります。相手の「心地よい」を尊重しようという気持ちが生まれます。
ワーク3:『二人の心地よい休息時間』をデザインする
お互いの心地よさについて理解が深まったら、次は二人で共有できる、またはお互いが心地よく過ごせるような二人の時間をどのように作っていくか、一緒に考えてみましょう。
目的: お互いの心地よさを踏まえ、二人にとってより質の高い、穏やかな時間を見つけたり、創造したりすること。
必要なもの: ワーク1、2の内容、これから話し合う時間
手順:
- ワーク1とワーク2でシェアしたお互いの「心地よい休息時間」の要素を改めて振り返ります。(例:静かさ、温かい飲み物、自然、音楽、一人でいる時間、一緒にいる時間など)
- それらの要素の中で、二人で一緒に取り入れられそうなものは何か、アイデアを出し合ってみましょう。
- 例えば、「静かな環境が好き」なら、休日の午前中に近所の静かな公園を散歩する、二人で図書館に行ってみる、といったアイデア。
- 「家でゆったりするのが好き」なら、お互いが好きな本を読みながら同じ空間で過ごす「ペア読書時間」、好きな音楽を静かに流しながらお茶を飲む時間など。
- 「自然を感じるのが好き」なら、ベランダで小さな植物を一緒に育ててみる、晴れた日に窓を開けて風を感じながら過ごす、など。
- すぐに始められそうな「二人でやってみたい心地よい休息時間」のアイデアをいくつかリストアップしてみましょう。実現可能かどうかは気にせず、まずは自由にアイデアを出してみてください。
- リストの中から、一番ピンときたものを一つか二つ選び、「いつ、どこで、どのように」やってみるか、具体的な計画を立ててみましょう。試しに一度やってみて、どう感じたか、後でまた話してみることにします。
- ワークを通して、「お互いが一人で心地よく過ごす時間」も尊重することの大切さについても話し合っておくと良いでしょう。「週末のこの時間は、お互いに好きなように過ごす時間にする?」など、個々の休息時間について話すことも、二人の関係を円滑にします。
期待される効果: 二人で共有できる、新しい楽しみや習慣が見つかります。一緒に過ごす時間が、お互いにとってより無理がなく、心地よいものになります。これからの二人の人生に対して、前向きな気持ちで向き合えるようになります。
ワークを続けるためのヒント
- 完璧を目指さないこと: 一度で全てがうまくいくとは限りません。焦らず、ゆっくりと二人のペースで進めていくことが大切です。
- 小さく始めること: まずは週に一度、15分だけでも時間を取ってみるなど、無理のない範囲で始めてみましょう。
- お互いを褒め合うこと: ワークに取り組んだこと自体を褒め合ったり、「あなたの話を聞けて嬉しかったよ」など、感謝やポジティブな気持ちを伝え合ったりすることも、関係を深める良い機会です。
- 変化を楽しむこと: 時間が経てば、心地よいと感じることも変わっていくかもしれません。定期的にこのワークを繰り返して、お互いの変化を知ることも楽しいでしょう。
- 強制しないこと: パートナーがあまり乗り気でない場合は、まずはご自身一人でワーク1に取り組むだけでも構いません。ご自身の変化が、自然と相手に伝わることもあります。
まとめ
子供たちが巣立ち、パートナーと向き合う時間が増えた今、これからの人生を共に心地よく過ごすために、二人の「心地よい休息時間」について話し合ってみることは、とても価値のあることです。
今回ご紹介したワークは、特別なスキルや道具がなくても、ご自宅で簡単に実践できます。お互いの内面にそっと寄り添い、尊重し合うことから、新しい二人の時間が生まれていくでしょう。
このワークが、パートナーとの間に穏やかで温かい会話を生み出し、これからの日々をさらに豊かなものにするための一助となれば幸いです。完璧な答えを求めるのではなく、お互いを理解し、寄り添い合うプロセスそのものを大切にしてください。二人のペースで、心地よい時間を見つける旅を続けていきましょう。