二人の「価値観」を知り、会話が弾むワーク
人生の節目を迎え、パートナーと過ごす時間が増えた方もいらっしゃるかもしれません。これからの日々を共に豊かに過ごしたいと思っても、「以前より会話が減ってしまった」「何を話せばいいか分からない」と感じることもあるのではないでしょうか。
お互いの関係性をより心地よいものにするために、特別なことや難しいことは必要ありません。日々のちょっとした時間を使い、心を通わせる機会を持つことが大切です。今回は、パートナーと互いの内面を穏やかに知ることで、自然と会話が弾むようになるかもしれないワークをご紹介します。
なぜ「価値観」を知ることが関係性にとって大切なのか
「価値観」と聞くと、少し難しく感じるかもしれません。簡単に言えば、それはあなたが人生で何を大切にし、物事をどのように捉え、判断するかの「ものさし」のようなものです。
長年一緒にいても、パートナーのすべての考え方や感じ方を知っているわけではありません。互いの価値観を知ることは、相手の行動や言動の背景にある「なぜ?」を理解する助けになります。理解が深まれば、それまで見えなかった相手の一面が見えたり、意外な共通点や興味深い違いを発見したりすることもあります。
これにより、会話の糸口が増えたり、お互いへの共感や尊重が深まったりと、より質の高いコミュニケーションにつながっていくことが期待できます。
二人の「価値観」を知り、会話を深めるワーク
このワークは、特別な準備も難しいスキルも不要です。落ち着いて話せる時間と場所があれば、すぐに取り組むことができます。
目的: パートナーと互いの「大切にしていること」や「考え方の軸」を共有し、理解を深めることで、会話をより豊かなものにすることを目指します。
必要なもの: * 紙とペン(または、スマートフォンのメモ機能など) * お互いが落ち着いて話せる静かな時間と場所
具体的な手順:
ステップ1:自分自身の「大切にしていること」を考えて書き出してみましょう
まずは、ご自身が人生や日々の生活の中で「大切にしているな」と感じることをいくつか考えてみましょう。リストにする必要はありません。いくつかの言葉や短い文章で書き出してみてください。
考えるヒントとなる質問をいくつか挙げます。これらの質問すべてに答える必要はありません。ピンとくるものを選んで考えてみてください。
- 最近、「これは大事にしたいな」と強く思った出来事は何ですか?
- あなたが「これだけは譲れないな」と感じることは何ですか?
- どんな時に「幸せだな」「満たされているな」と感じますか?
- 何かを決める時に、何を一番重視しますか?(例:安心、効率、楽しさ、人の役に立つか、など)
- 人生で「これだけは大切にしたい」と思うものは何ですか?(物、こと、関係性など)
難しく考えすぎず、思いつくままに書いてみることが大切です。3つ〜5つ程度でも十分です。
ステップ2:書き出した内容をパートナーと共有しましょう
お互いに、ステップ1で考えたこと、書き出した内容をパートナーに見せたり、読み上げたりして共有します。
ステップ3:一つ選んで、なぜそれが大切なのか語り合いましょう
共有した内容の中から、相手が書いたもの、または自分が書いたものの中から一つを選び、なぜそれが大切だと感じるのか、具体的なエピソードや理由を添えて話してみましょう。
例えば、「私は『誠実であること』を大切にしています。なぜなら、以前〇〇という経験をした時に、誠実さの大切さを痛感したからです。」のように、ご自身の言葉で語ってみてください。
聞き手は、相手の話を途中で遮らず、静かに耳を傾ける姿勢が大切です。「なるほど」「そう感じているんだね」と、まずは相手の言葉を受け止めることを意識しましょう。
ステップ4:お互いに順番に語り合いましょう
ステップ3を繰り返します。時間やエネルギーに合わせて、一人一つか二つ、お互いの「大切にしていること」について語り合ってみましょう。一度にすべてを語り尽くす必要はありません。
ワークを行う上でのヒントと続けるための工夫
- 一度に欲張らない: 最初は一つ、二つでも構いません。続けることが大切です。
- リラックスした雰囲気で: お茶を飲みながら、食後にゆったりとなど、堅苦しく考えずに行いましょう。
- 相手の話を「聞く」に徹する: 相手が話している時は、自分の意見や反論を挟まず、まずは共感的に聞くことを心がけましょう。
- 否定しない: 互いの価値観に「正しい」「間違っている」はありません。相手が何を大切にしているのかを「知る」ことに焦点を当てましょう。
- 定期的に行う: 「月に一度」「季節に一度」など、二人で話し合って無理のないペースで続けてみると、変化を感じやすくなります。
- 質問リストを変えてみる: 毎回同じ質問でなくても構いません。「最近、どんな時に感謝を感じましたか?」「どんなことに興味がありますか?」など、日々の出来事や感情に関する質問も、価値観を知るヒントになります。
まとめ:心地よい関係性は日々の積み重ねから
このワークを通じて、パートナーの意外な一面を知ったり、共感したり、あるいは新たな発見があったりするかもしれません。すぐに劇的な変化がなくても、互いの内面に触れる機会を持つことは、着実に関係性を深める一歩となります。
互いの「価値観」を理解することは、考え方の違いを認め合う寛容さにつながり、今後の人生で様々な出来事に二人で向き合っていく上での土台となってくれるでしょう。
会話が弾まないと感じていても、まずは小さな一歩から。今回ご紹介したワークが、パートナーとのこれからの日々を、より温かく、心地よいものにしていくための一助となれば幸いです。