心が近づく、パートナーとの『嬉しい』交換ワーク
はじめに:二人の時間をもっと温かくするために
お子様が独立され、ご夫婦で過ごす時間が増えたという方もいらっしゃるかもしれません。これからの人生、パートナーと二人でどのように時間を過ごし、どんな関係を築いていきたいとお考えでしょうか。
長年連れ添ったご夫婦であっても、いざ二人きりの時間が増えると、「なんだか以前ほど会話が弾まないな」「何を話したらいいか分からないな」と感じることがあるかもしれません。それは決して特別なことではなく、多くのご夫婦が経験することです。
今後の人生を共に楽しく、心豊かに過ごすためには、意識的にお互いに関心を持ち、気持ちを伝え合う時間を持つことが大切になります。特別なことではなく、日々のちょっとした習慣や簡単なワークを取り入れるだけで、二人の関係はぐっと温かいものに変わっていく可能性があります。
この記事では、お二人の心がより近づき、温かい時間が増えるためにおすすめしたい、ご自宅で気軽にできる簡単なワークをご紹介します。
心が近づく『嬉しい』交換ワーク
このワークは、日々の生活の中で体験した「嬉しい」と感じた出来事や、心が温かくなった瞬間をパートナーと共有することに焦点を当てています。大きな出来事でなくて構いません。道端に咲いていた花がきれいだった、欲しかったものが手に入った、誰かの優しさに触れた、など、本当に小さなことでも良いのです。
このようなポジティブな感情や出来事を共有することで、お互いの日常に関心を持ち、共感し、心の距離を自然と縮めることができます。また、「嬉しい」というポジティブな話題は、会話のきっかけとして優れており、お二人の間に温かく心地よい雰囲気を作り出してくれるでしょう。
- 目的: 日々のポジティブな出来事や感情を共有し、お互いの日常に関心を持ち、共感し合うことで、心の距離を縮め、二人の間に温かい雰囲気を作る。
- 必要なもの: 特にありません。リラックスして話せるお二人の時間と空間があれば十分です。もし、話した内容を覚えておきたい場合は、簡単なメモ帳などを使っても良いでしょう。
- 所要時間: 5分~10分程度
ワークの具体的な手順
このワークは、とてもシンプルです。お二人のペースで、リラックスして試してみてください。
- 時間と場所を決める:
- お二人で落ち着いて、誰にも邪魔されずに話せる時間を選びましょう。夕食の後片付けが終わって一息ついた時間、寝る前のリラックスタイム、週末の午前中など、お二人の生活リズムに合わせて無理なく続けられそうな時間帯が良いでしょう。
- 場所も、リビングのソファやダイニングテーブル、またはお気に入りの場所など、お二人が心穏やかに話せる場所を選んでください。
- 今日の「嬉しい」を思い浮かべる:
- まずは、一人ずつ、今日あった「嬉しい」出来事や、心が温かくなった瞬間を一つ、あるいは二つ思い浮かべてみましょう。
- 「そんなに嬉しいことなんてなかったな」と思う日もあるかもしれません。その場合は、「少し心が軽くなったこと」「嫌なことがなかったこと」「当たり前だけどありがたいなと思ったこと」など、少し範囲を広げて考えてみても大丈夫です。本当に些細なことで構いません。「朝ごはんの味噌汁が美味しかった」「天気が良くて気持ちが良かった」「パート先で〇〇さんと少し話せて楽しかった」など、心に少しでもプラスの感情が生まれたことを探してみてください。
- お互いの「嬉しい」を伝え合う:
- 準備ができたら、どちらか一方から話す番です。今日見つけたい「嬉しい」出来事をパートナーに話してみましょう。
- 話すときは、具体的にどんな出来事だったのか、そしてそれを体験して自分がどう感じたのかを、飾らない言葉で伝えてみてください。「〇〇なことがあって、その時、私は△△と感じたんだ」のように話すと、相手に伝わりやすくなります。
- パートナーの話を「聴く」:
- 話を聞く側は、相手の話にじっと耳を傾けてください。途中で口を挟まず、最後まで聞くことを心がけましょう。
- 相手の話が終わったら、「そうだったんだね」「それは良かったね」など、共感やねぎらいの言葉を伝えてください。無理にアドバイスしたり、自分の経験と比べたりする必要はありません。ただ、相手の感情に寄り添うような気持ちで聞くことが大切です。簡単な質問(「へぇ、それでどうなったの?」「それはどんな感じだった?」など)をしてみるのも良いでしょう。
- 立場を交代して行う:
- 一通り話を聞き終えたら、今度は立場を交代して、もう一方が自分の「嬉しい」出来事を話し、パートナーがそれを聞きます。
- 同じように、具体的に話し、相手の話に共感的に耳を傾けることを意識しましょう。
- 簡単な感想や感謝を伝え合う:
- お互いの「嬉しい」を共有し終えたら、「話してくれてありがとう」「〇〇さんの話を聞いて、私も温かい気持ちになったよ」など、簡単な感想や感謝を伝え合ってワークを終わりにしましょう。
ワークを続けるためのヒントと注意点
- 無理なく、続けることを目標に: 最初から毎日行うのは大変かもしれません。まずは週に2〜3回から始めてみたり、お二人の都合に合わせて柔軟に行ったりすることが大切です。完璧を目指すのではなく、「続けること」そのものを二人の習慣にすることを目指しましょう。
- 小さなことでも価値がある: 「こんな小さなこと話しても良いのかな?」と思う必要はありません。日々の小さな「嬉しい」の積み重ねこそが、お二人の日常を温かく彩ってくれます。
- 批判や否定をしない: このワークは、お互いのポジティブな感情や出来事を共有し、受け止め合うためのものです。相手の話に対して批判したり、「そんなことの何が嬉しいの?」と否定したりすることは絶対にしないでください。どのような話でも、まずは受け止める姿勢が重要です。
- 話すことより「聴くこと」に意識を向ける: 自分が話したいという気持ちが先に立つかもしれませんが、パートナーの話を丁寧に「聴く」ことは、話すことと同じくらい、あるいはそれ以上に大切です。相手が安心して話せる聞き手になることを心がけてください。
- ワーク以外の時間も大切に: このワークを通じて、普段からお互いの良い側面やポジティブな出来事に目を向ける習慣がついてくるかもしれません。ワークの時間以外でも、パートナーのちょっとした変化や頑張り、感謝したいことなどに気づいたら、その都度言葉にして伝えてみるのも素晴らしいことです。
まとめ:小さな「嬉しい」の積み重ねが、未来を温かくする
「心が近づく『嬉しい』交換ワーク」は、特別な準備もいらず、短い時間でできる簡単なワークです。しかし、お互いの「嬉しい」を共有するこの小さな習慣が、お二人の間に流れる空気を温かくし、会話を自然と増やしてくれる可能性があります。
長年連れ添ったパートナーだからこそ、改めて言葉にして伝え合うことの大切さがあります。日々の小さな「嬉しい」を分かち合うことで、お互いの存在がかけがえのないものであることを再確認し、今後の人生を共に歩んでいく中での心の支えになっていくでしょう。
このワークを通じて、お二人の時間がより豊かで、温かいものになることを願っています。関係性ワークショップでは、これからもお二人の関係をより良くするための様々なワークやヒントをご紹介していきますので、ぜひ他の記事もご覧ください。