心が近づく、パートナーの「人生で乗り越えたこと」を語るワーク
パートナーとの時間、どのように過ごしていますか?
お子様が独立され、パートナーと二人きりで過ごす時間が増えたという方もいらっしゃるかと思います。それは、これからの人生を共に歩むパートナーと、改めてじっくり向き合うことができる大切な機会でもあります。
しかし、長い時間を共にしているからこそ、「今さら聞くまでもないか」と思ったり、会話が天気の話や日常の報告だけで終わってしまったりして、「もっと心を通わせたいけれど、どうすれば良いのだろう?」と感じることもあるかもしれません。
今後の人生を、パートナーとさらに心豊かに、お互いを支え合いながら楽しく過ごしていくためには、これまでの歩みを振り返り、お互いの内面を改めて知ることが非常に役立ちます。特に、人生の中で経験した困難や挑戦、そしてそれをどのように乗り越えてきたのかという話は、お互いの強さや価値観、そして何よりも人間的な魅力を再発見する素晴らしい機会となります。
今回は、特別な準備は何もいらず、ご自宅で気軽に実践できる「心が近づく、パートナーの『人生で乗り越えたこと』を語るワーク」をご紹介します。このワークを通して、お互いのことを深く知り、より一層心を通わせるきっかけにしていただけたら幸いです。
心が近づく、パートナーの「人生で乗り越えたこと」語り合いワーク
このワークは、お互いのこれまでの人生で経験した「乗り越えてきたと感じる困難や挑戦」について語り合うことで、相手への理解と尊敬を深め、心の距離を縮めることを目的としています。大それた話である必要はありません。その方にとって意味のある経験であれば、どんなことでも構いません。
ワークの目的
- パートナーの知らなかった一面や、内面的な強さを発見する。
- 困難を乗り越えた経験を語り合うことで、お互いの価値観や人生観に触れる。
- 真剣に耳を傾け、共感し合う時間を持つことで、お互いへの信頼感と安心感を深める。
- 語り合いを通して、お互いを応援し、支え合う気持ちを育む。
- 今後の人生で予期せぬ困難に直面した際、二人で力を合わせられる自信に繋げる。
必要なもの
- 特にありません。
- お互いが落ち着いて、リラックスして話せる時間と場所があれば十分です。
- 温かい飲み物などを用意すると、より心地よい雰囲気で話せるかもしれません。
具体的な手順
このワークは、お互いが話し手と聞き手となり、交代で行います。急がず、お互いのペースで進めることが大切です。
ステップ1:ワークの意図を共有する
まず、このワークを始める前に、「今日は、お互いの人生で頑張って乗り越えてきたことについて、話を聞き合ってみない?」などと、軽い気持ちでパートナーに提案してみてください。「お互いのことをもっとよく知る機会にしたいね」「お互いの頑張りをねぎらえたら嬉しいな」といった言葉を添えると、安心して取り組める雰囲気になります。
ステップ2:「乗り越えてきたこと」を心の中で準備する
それぞれが、これまでの人生で「これは大変だったけれど、何とか乗り越えてきたな」「この経験は自分にとって大きな挑戦だったな」と感じることを、一つか二つ思い浮かべてみましょう。
- 大きな病気を乗り越えた経験
- 仕事での大きな失敗や困難
- 人間関係で悩んだこと
- 新しい環境に馴染むための努力
- 何かを学ぶために一生懸命取り組んだこと
- 経済的な苦労を乗り越えたこと
- 大切な人との別れに向き合ったこと
など、内容はどんなことでも構いません。自分にとって「乗り越えた」と感じられる経験を選んでみてください。すぐに思いつかなくても焦る必要はありません。ゆっくりと、心に浮かぶものを待ちましょう。
ステップ3:一人が話し手となり、経験を語る
どちらから始めても構いません。まずは一人が話し手となり、心に準備した「乗り越えてきたこと」について、自由に語ります。具体的な話す内容に決まりはありませんが、例えば次のようなことを含めて話すと、聞き手はより深く理解しやすくなります。
- それはいつ頃の、どんな経験でしたか?
- 具体的に何が大変でしたか?
- その時、どんな気持ちでしたか? (不安、辛さ、怒り、諦めそうになった気持ちなど)
- その状況を、どのようにして乗り越えようと思いましたか?
- 誰かの助けや、支えはありましたか?
- 乗り越えるために、具体的にどんな行動をしましたか?
- その経験を通して、自分自身はどのように変わったと感じますか?
- その経験から、今に繋がっている学びや価値観はありますか?
話している最中に、パートナーからの簡単な相槌や共感の言葉(「うんうん」「そうだったんだね」「それは大変だったね」など)があると、話し手は安心して話し続けることができます。
ステップ4:聞き手は、ただ丁寧に耳を傾ける
聞き手は、話し手の話を最後まで丁寧に、真剣に耳を傾けることに集中します。
- 話を途中で遮ったり、否定したり、安易なアドバイスをしたりすることは避けましょう。
- 話し手の気持ちに寄り添うように、相槌を打ったり、うなずいたりしながら聞きましょう。
- 話の内容について質問したいことがあれば、話し手が話し終えてから尋ねるようにしましょう。ただし、問い詰めるような雰囲気にならないよう注意が必要です。
話し手が語り終えたら、感謝の気持ちを伝えます。「話してくれてありがとう」「貴重な話を聞かせてくれて、とても勉強になったよ」「大変だったのに、本当に頑張ったね、尊敬するよ」など、素直な気持ちを伝えてみましょう。
ステップ5:役割を交代して、もう一人が語る
話し手と聞き手の役割を交代し、今度はもう一人が自分の「乗り越えてきたこと」について語ります。同様に、相手は丁寧な聞き手に徹します。
ステップ6:語り終えて、感想をシェアする
お互いの話を語り終えたら、このワークを通して感じたことや発見したことなどを、軽くシェアする時間を持つのも良いでしょう。
- 「〇〇さんの話を聞いて、初めて知ることがたくさんあって驚いた」
- 「あの時、そんなに大変だったなんて知らなかったよ。本当にすごいね」
- 「〇〇さんの話を聞いて、自分ももっと頑張ろうと思った」
- 「話を聞いて、〇〇さんのこういうところに惹かれたんだなって改めて感じた」
など、ポジティブな感想を伝え合うことで、ワークの効果がより高まります。
ワークを行う上でのヒントと、続けやすくするための工夫
- 無理強いはしない: このワークは、お互いが「やってみようかな」という気持ちになった時に行うことが大切です。乗り気でない様子の時は、無理強いせず、別の機会にしましょう。
- 短時間で始めてみる: 最初から全ての経験を語ろうとせず、まずは一つ、短い時間で話せることから始めてみるのも良い方法です。「今日は〇〇について少し話してみようか」というように、テーマを絞ると取り組みやすくなります。
- 「乗り越えられなかった経験」でも良い: 必ずしも「完全に乗り越えて成功した話」である必要はありません。挑戦したけれど難しかった経験や、まだ完全には乗り越えられていないと感じることでも、話したいと思えば語っても構いません。そこから学ぶことや、今後の課題が見つかることもあります。
- 聞くことに徹する: 特に聞き手は、アドバイスをしたり、自分の経験談を話し始めたりしたくなるかもしれませんが、まずは相手の話を「聞く」ことに意識を向けましょう。相手が安心して心の内を話せる環境を作ることが重要です。
- 定期的に「語り合いの時間」を設ける: このワークのような、お互いの内面を深く知るための「語り合いの時間」を、例えば月に一度など、定期的に設けることを二人の習慣にするのも素晴らしいアイデアです。毎回テーマを変えてみるのも良いでしょう。
- 話したくないことは無理に話さなくて良い: デリケートな内容で、話したくないこと、触れてほしくない過去もあるかもしれません。お互いに「話したくないことは話さなくて大丈夫だよ」という安心感を共有しておくことが、より安全にワークを行うために大切です。
まとめ
人生の様々な経験を共に、あるいはそれぞれの場所で乗り越えてきたパートナーは、何よりも大切な存在です。この「乗り越えてきたこと」を語り合うワークは、単に過去の話をするだけでなく、お互いの知られざる一面や内なる強さに触れ、深い部分で繋がりを感じる貴重な機会となります。
長い年月を共に過ごす中で、「言わなくてもわかるだろう」と思ってしまうことも増えるかもしれません。しかし、言葉にして伝え、耳を傾けて聞くという行為は、関係性をより強固で温かいものにしてくれます。
このワークをきっかけに、パートナーとの会話がさらに深まり、お互いへの理解と尊敬が育まれ、これからの日々をより心豊かに、そして安心して共に歩んでいくための一歩となることを願っております。すぐに大きな変化を感じなくても、こうした温かい時間を持つこと自体が、二人の関係性にとってきっと大切な積み重ねになるはずです。