パートナーと「褒め合う」練習で、もっと心通う毎日に
子供たちが独立し、パートナーと二人で過ごす時間が増えたという方もいらっしゃるかと思います。これからの人生を二人でどう過ごしていこうかと考えたとき、これまで以上に心穏やかで温かい関係性を築きたいと思われるかもしれません。しかし、長年一緒にいると、あらためて言葉を交わす機会が減り、「なんとなく会話が弾まないな」と感じることもあるのではないでしょうか。
今回は、そんな状況を少しでも心地よくするために、パートナーと実践できる「褒め合う」ワークをご紹介します。特別な準備は何もいりません。少しの意識と時間があれば、どなたでもすぐに始められます。日々の小さな良い点に気づき、それを言葉にして伝え合うことで、お互いの心に温かい光を灯してみませんか。
なぜ「褒め合う」ことが関係性改善につながるのでしょうか?
褒め合うことは、単に相手を持ち上げることではありません。相手の存在や行動に意識的に目を向け、良い点や感謝している点を見つけ出し、それを素直に言葉にして伝える練習です。
これにより、お互いが「見守られている」「大切にされている」と感じることができ、安心感が生まれます。また、ポジティブな側面に意識を向けることで、二人の関係性全体が明るく前向きな雰囲気になります。会話のきっかけが増え、お互いの良いところを再発見することで、新鮮な気持ちで向き合えるようになるでしょう。
【ワーク1】「今日、褒めたいこと」交換ワーク
日々の生活の中で、パートナーのどんなところに心が動いたか、感謝したか、素敵だと思ったか、を伝え合うワークです。
目的:
- パートナーの日常の行動や存在に対する感謝や良い点に意識的に気づく習慣をつける
- ポジティブな気持ちを言葉にして伝えることで、お互いの承認欲求を満たす
- 日々の小さな出来事を会話のきっかけにする
必要なもの:
- 特にありません。二人が落ち着いて話せる時間があれば十分です。
具体的な手順:
- 時間を決める: 夕食後やお茶の時間など、二人でゆったりできる時間を1日5分でも良いので確保しましょう。毎日行うのが難しければ、週に数回など、無理のない頻度で構いません。
- 「今日、パートナーのここが良かった」を一つ見つける: その日一日のパートナーの言動や、気づいたことの中から、「素敵だな」「ありがとう」「助かったよ」「すごいな」と感じた点を一つ探します。大きなことでなくて構いません。例えば、「洗濯物を畳んでくれてありがとう」「今日の夕食のお味噌汁、美味しかったよ」「重い荷物を持ってくれて助かった」「〇〇について話してくれた時、真剣に聞いてくれて嬉しかった」など、具体的な行動やその時の気持ちを伴うものだと伝わりやすいです。
- 正直な気持ちを言葉にして伝える: 見つけた良い点を、パートナーに「〇〇してくれて、ありがとう」「今日の〇〇、とても助かりました」「〇〇している姿を見て、素敵だなと思いました」のように、具体的に、そして正直な気持ちを込めて伝えます。
- 相手はただ聞く: 伝えられた側は、照れくさいかもしれませんが、反論したり謙遜したりせず、「ありがとう」「そうなんだ」のように、素直に受け止めるようにします。
- 役割を交代する: 伝えた側と聞く側を交代し、同じように行います。
期待される効果:
- お互いへの関心が高まり、日々の小さな変化に気づきやすくなります。
- 感謝や尊敬の気持ちが自然と生まれます。
- 言われた側は自己肯定感が高まり、より心地よく過ごせるようになります。
- ポジティブなやり取りが増え、会話の雰囲気全体が温かくなります。
ワークを行う上でのヒント:
- 最初は慣れないかもしれませんが、まずは「ありがとう」を添えるだけでも良いでしょう。
- 抽象的な褒め言葉(例:「いつもありがとう」)だけでなく、具体的な行動や状況に触れると、より気持ちが伝わります(例:「今日、帰りが遅くなったのに、夕食の片付けをしてくれてありがとう。すごく助かったよ」)。
- 完璧を目指さず、楽しむ気持ちで取り組むことが大切です。
【ワーク2】「初めての〇〇」思い出褒めワーク
二人が出会ってからこれまでの「初めて」の出来事を振り返り、その時のパートナーの行動や印象を褒め合うワークです。長い時間を共に歩んできた二人だからこそできる、特別なワークです。
目的:
- 二人の共有の歴史を肯定的に振り返る
- 長い関係性の中で見失いがちな、初めて会った頃の新鮮な気持ちや尊敬の念を再認識する
- 過去のポジティブな思い出を語り合うことで、現在の関係性の土台にある信頼や愛情を強化する
必要なもの:
- 特にありませんが、もし可能であれば、当時の写真などがあると、より具体的に思い出を共有しやすくなります。
具体的な手順:
- テーマを決める: 二人で話し合い、「初めて会った時のこと」「初めての旅行」「初めて一緒に大きな決断をした時(例:家を買う、引っ越しなど)」など、二人の「初めて」に関する思い出のテーマを一つ選びます。
- 思い出を語り合う: どちらか一方から、選んだテーマについて思い出を語り始めます。その中で、「あの時、〇〇が△△してくれたのが、すごく頼りになるなと思ったよ」「〇〇の時に、□□がこんな風に考えているんだと知って、尊敬したんだ」「△△で困っていた時、◎◎が助けてくれて、本当に感謝しているよ」のように、パートナーの具体的な言動や考え方、助けてくれたことなどを振り返り、褒めたり感謝したりする点を盛り込みます。
- 相手は耳を傾ける: 語られている側は、相手の話に耳を傾け、思い出に浸ります。話が終わった後、その時の自分の気持ちや、なぜそうしたのかなどを補足しても良いでしょう。
- 役割を交代する: 語る側と聞く側を交代し、同じように行います。
期待される効果:
- 二人の歩みを肯定的に捉え直し、絆の深さを再確認できます。
- お互いの隠れた一面や、これまで知らなかった当時の気持ちを知ることができます。
- 「あの時、こうだったね」と会話が弾み、楽しい時間を過ごせます。
- 困難を共に乗り越えてきた経験などを思い出し、今後の人生を共に歩む上での自信や安心感につながります。
ワークを行う上でのヒント:
- すぐに思い出せない場合は、焦らず、ゆっくりと当時の出来事を振り返ってみましょう。
- 特に感動した出来事や、パートナーの優しさに触れた瞬間などを思い出すと、より心に響く言葉になります。
- 写真を見ながら話すと、記憶が鮮明になり、会話が弾みやすくなります。
ワークを続けるためのヒントと注意点
- 完璧を目指さない: 最初からスムーズにいかなくても大丈夫です。少しずつ、できる範囲で続けることが大切です。
- 無理強いしない: パートナーが乗り気でない場合は、まずは自分から相手を褒めることから始めてみるなど、プレッシャーにならないように配慮しましょう。
- 聞く側は素直に受け取る: 褒められたら、照れくさくても「ありがとう」と受け止めましょう。謙遜しすぎると、相手は伝えづらくなってしまうことがあります。
- 正直な気持ちを伝える: 心にもないことを言う必要はありません。小さなことでも、 genuinely 感じたことを言葉にしましょう。
- ゲーム感覚で楽しむ: 「今日はどんな良いところを見つけられるかな?」というように、遊び心を持って取り組むと続けやすいかもしれません。
まとめ
子供たちの独立は、人生の新たな節目であり、パートナーと二人で過ごす時間を大切に再構築する良い機会です。会話が少ないと感じることがあっても、それは決してネガティブなことばかりではありません。これまでの長い時間の中で、お互いへの気遣いや配慮が、あえて言葉にしなくても伝わるようになった側面もあるかもしれません。
しかし、意識的にポジティブな言葉を交わすことは、関係性をさらに温かく、豊かなものにしてくれます。今回ご紹介した「褒め合う」ワークは、日々の生活や二人の歴史を通して、お互いの存在を再確認し、感謝や尊敬の気持ちを言葉にして伝え合うための簡単な練習です。
これらのワークを続けることで、きっと二人の間に穏やかで温かい空気が流れ、会話が弾む瞬間が増えていくことと思います。これからの人生、パートナーと共に心通わせながら、楽しく、そして安心して歩んでいくための一歩として、ぜひ試してみてください。