パートナーと『お互いの応援団』になる 心が通じ合う簡単ワーク
お子さんの独立は、親として大きな節目ですね。子育てという共通の話題や忙しさから解放され、パートナーとの時間が増えたという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ふと気づくと、以前ほど会話が弾まなくなったり、お互いのことが分からなくなったように感じたりすることもあるのではないでしょうか。
これからの人生をパートナーと共に楽しく、心穏やかに過ごすためには、今一度お互いに向き合い、新たな関係性を築いていくことが大切です。このページでは、特別な準備やスキルは一切不要で、ご自宅で気軽に実践できる「お互いを応援し合う」ことをテーマにした簡単ワークをご紹介します。このワークを通じて、再び心を通わせ、これからの時間をより豊かなものにするきっかけを見つけていきましょう。
なぜ「応援」することが関係改善につながるのでしょうか?
パートナーシップにおいて「応援する」という行為は、単に相手を励ますこと以上の意味を持ちます。それは、相手の人生や興味、挑戦に対して関心を持ち、その価値を認め、肯定的なエネルギーを送る行為です。
お互いのことを応援し合うことで、
- 相手への関心が高まる: 「この人は今、こんなことに興味があるんだ」「こんなことに挑戦したいんだ」と知ることで、相手への理解が深まります。
- 会話のきっかけが増える: 応援したいことに関する話題は、自然な形で会話を生み出します。「あれ、どうなった?」「それについてこんな情報があったよ」といったやり取りが増えるでしょう。
- お互いの絆が深まる: 応援される側は「自分は認められている」「一人じゃない」と感じ、心強く感じるものです。応援する側も、相手の喜びを自分のことのように感じ、心が温かくなります。この肯定的なやり取りが、二人の間の信頼と安心感を育みます。
年齢を重ね、これまでの役割が変わっていく中で、お互いがこれから何を大切にし、どんな時間を過ごしていきたいのかを知り、それを応援し合うことは、今後の人生を共に楽しむための大きな力になります。
それでは、具体的で簡単なワークを二つご紹介します。
ワーク1:『お互いの「応援したいこと」をシェアする時間』
このワークの目的は、お互いが「これからやってみたい小さなこと」「今、興味があること」「挑戦してみたいこと」などを知り、それを応援する気持ちを育むことです。
必要なもの:
- 紙とペン(あれば。頭の中で考えるだけでも大丈夫です。)
- お互いが落ち着いて話せる時間と場所
具体的な手順:
- まずは一人で考えてみましょう(10分〜15分程度):
- パートナーに話す前に、まずはご自身で「これからやってみたい小さなこと」「今、気になっていること」「挑戦してみたいこと」などをいくつか書き出してみましょう。紙に書き出すのが難しければ、頭の中で思い浮かべるだけでも結構です。
- 例えば、「近所のパン屋さん巡りをしてみたい」「昔好きだった音楽をもう一度聴き始めたい」「健康のために少し散歩を増やしたい」「地域で開催されるイベントに参加してみたい」「昔読んで面白かった本を読み返したい」など、小さくても構いません。すぐに実現できそうにないことでも大丈夫です。
- 「誰かに応援してもらえたら嬉しいな」と思えることを選ぶのがポイントです。
- パートナーと向き合う時間を作りましょう:
- お互いにリラックスできる、邪魔が入らない時間を選びましょう。夕食後や週末の少しゆったりした時間などがおすすめです。
- テーブルを挟んで座るなど、お互いの顔が見えるように向き合うと、より心が通じやすくなります。
- 交代でシェアしましょう(一人5分〜10分程度):
- まずはどちらか一方が、考えてきた「応援したいことリスト」や思いをパートナーに話します。
- 話す際は、「これから〇〇をやってみたいと思っているんだ」「最近、〇〇に興味があってね」「もしよかったら、こんなことに挑戦してみたいなと考えているの」のように、相手に語りかけるように話してみましょう。
- リストを全部話す必要はありません。話したいこと、話しやすいことからで大丈夫です。
- 相手の話を「聴き」ましょう:
- 話を聞いている間は、相手の言葉に耳を傾け、うなずいたり、相槌を打ったりしながら、熱心に聞いている姿勢を示しましょう。
- 途中で口を挟まず、相手が話し終えるまで待ちます。批判や否定的な言葉は絶対に避けましょう。ただ「聴く」ことに集中します。
- 応援の気持ちを伝えましょう:
- 相手が話し終えたら、聞いた感想や、応援したい気持ちを伝えましょう。
- 「〇〇をやってみたいという気持ち、素敵だね。応援しているよ」「〇〇に興味があるんだね、面白そうだね」「何か私にできることがあれば言ってね」など、具体的な言葉で伝えるとより気持ちが伝わります。
- 質問をする場合は、「具体的にはどんなことをしてみたいの?」「それについてもう少し詳しく聞かせてもらえる?」のように、相手の話を深めるような問いかけをしましょう。
- 役割を交代して、同じように行います。
このワークで期待される効果:
- パートナーの新しい一面や、大切にしたいこと、これからへの思いを知ることができます。
- お互いの「これから」に関心を持つきっかけになります。
- 応援されることで、安心感や幸福感を得られます。
- 応援することで、相手への愛情や尊敬の気持ちが深まります。
ワークを行う上でのヒント:
- 「すごいこと」や「大きな成果」を目指す必要はありません。日常の小さなことでも十分です。
- すぐに「応援」のアドバイスをするのではなく、まずは「聞く」ことに徹しましょう。
- お互いのペースを尊重し、無理強いはしないようにしましょう。
ワーク2:『「応援実践」会話ワーク』
ワーク1でシェアした「応援したいこと」を、日々の生活の中で意識し、会話につなげていくワークです。
具体的な手順:
- シェアした内容を思い出す/見返す:
- ワーク1で話したパートナーの「応援したいこと」を心に留めておきましょう。書き出した場合は、時々見返してみるのも良いでしょう。
- 日常会話の中で話題に触れる:
- パートナーが話していた「応援したいこと」に関連するニュースを見たり、何かヒントになりそうな情報を得たりしたら、日々の会話の中で自然に触れてみましょう。
- 例えば、パートナーが「散歩を増やしたい」と話していたなら、「今日はいい天気だから、少し散歩してみようか?」と誘ってみる。
- パートナーが「昔好きだった音楽を聴きたい」と話していたなら、「この間、〇〇さんの曲をラジオで聴いたよ」と話題にする。
- 進捗や気持ちを尋ねてみる:
- パートナーが何か行動を起こしたら、「あの〇〇、どうだった?」「やってみてどうだった?」のように、感想や進捗を尋ねてみましょう。
- 何かにつまずいているようであれば、「何か困っていることはない?」「いつでも話聞くよ」のように、寄り添う姿勢を見せましょう。
- 小さな成果や努力を認め、ねぎらう:
- パートナーが「応援したいこと」に向けて小さな一歩を踏み出したり、努力したりしている様子が見られたら、「〇〇、頑張ってるね」「楽しそうだね」と、その頑張りや変化を認め、言葉にして伝えましょう。
このワークで期待される効果:
- 日々の会話のネタが増え、自然なコミュニケーションが生まれます。
- お互いの日常や、内面で起きていることに関心を持ち続けることができます。
- 応援されているという実感が、パートナーの行動へのモチベーションになります。
- 共に前を向いているという感覚が生まれ、連帯感が強まります。
ワークを行う上でのヒント:
- 「聞かなくては」と義務感を持つのではなく、あくまで会話を深めるための自然な流れで行いましょう。
- 相手が話したくない時は深追いせず、尊重しましょう。
- 尋問のようにならないように、穏やかなトーンで語りかけましょう。
ワークを継続するためのヒント
これらのワークは、一度行っておしまいにするのではなく、定期的に続けることで、より効果を発揮します。
- 習慣にする: 例えば、週に一度の夜や、月に一度の週末など、「応援シェアタイム」の時間を決めておく。
- 記録をつける: 話した内容や、応援したい気持ちを簡単なメモに残しておくと、後で見返したり、次の会話のきっかけにしたりできます。
- 楽しむ気持ちを大切に: 「やらなければ」と義務的に捉えず、「パートナーの新しい一面を知るのが楽しみ」「お互いの応援団になろう!」という軽い気持ちで取り組みましょう。
- 結果を求めすぎない: すぐに関係が劇的に変わらなくても落ち込まないでください。お互いを思いやる気持ちを表現すること自体に価値があります。
まとめ
お子さんが巣立った後の時間は、パートナーとの関係を新たなステージに進めるための大切な時期です。これまでとは違う形で、お互いの人生に関心を持ち、応援し合うことは、会話を増やし、心の距離を縮める素晴らしい方法です。
今回ご紹介したワークは、どれも簡単で、特別な道具もいりません。まずは気軽に、パートナーを誘って試してみてください。お互いの「応援したいこと」を知り、それを日々の会話の中で支え合うことで、きっと温かく、実りある時間が生まれるはずです。
これらのワークが、お二人のこれからの人生を、より楽しく、心穏やかに、そして温かい絆で結ばれたものにするための一助となれば幸いです。