お互いを深く知り、会話を豊かにするパートナーとの簡単質問タイム
パートナーとの関係は、長い時間を共に過ごすほど深まるものですが、同時に「分かり合っているはず」という思い込みから、会話が減ったり、表面的なやり取りだけになったりすることもあるかもしれません。特に、お子様が独立されて夫婦二人の時間が増えた今、「何を話したらいいのだろう」「どうすればもっと楽しく過ごせるのだろう」と感じていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
これから先の人生を、パートナーと穏やかに、そして楽しく過ごしていくためには、改めてお互いに関心を持ち、理解を深めていくことが大切になります。そこで今回は、特別な準備やスキルがなくても、すぐに始められる簡単なワークをご紹介します。それは「パートナーとの質問タイム」です。
なぜ「質問タイム」が関係性を深めるのに役立つのか
会話が減ってしまう原因の一つに、「もう相手のことは知り尽くしている」という感覚や、「何を話せば良いか分からない」という戸惑いがあります。しかし、人間は常に変化しています。日々の中で感じること、考えていること、興味を持つことは少しずつ変わっていくものです。
「質問タイム」は、意図的にお互いに問いかけ合う時間を作ることで、普段の何気ない会話では出てこないような、相手の今の考えや気持ち、新しい一面を知るきっかけになります。これは、改めてお互いに関心を持ち直し、新鮮な気持ちで向き合うための有効な方法です。
パートナーとの簡単「質問タイム」ワークの始め方
このワークは、特別な道具も場所も必要ありません。ご自宅で、リラックスできる時間に行ってみてください。
目的:
- お互いの「今」の気持ちや考えを知る。
- 会話のきっかけを作る。
- 相手への関心を再燃させる。
必要なもの:
- パートナーとあなたの二人
- (必要に応じて)短い時間を確認できる時計やタイマー
- (任意)話した内容を覚えておきたい場合は、メモ帳とペン
具体的な手順:
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時間と場所を決める:
- 毎日、あるいは週に数回など、無理なく続けられそうな頻度を二人で決めます。
- 時間は5分でも10分でも構いません。まずは短い時間から始めてみましょう。
- 場所は、リビングのソファや食卓など、二人が落ち着いて話せる場所を選んでください。テレビは消すなど、話に集中できる環境を作るのが望ましいです。
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どちらから始めるか決める:
- じゃんけんやくじ引きで決めても良いですし、「今日は〇〇さんから」と話し合って決めても良いでしょう。交代で質問し合うか、一方が質問役、もう一方が答える役となるかを決めます。
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質問をする:
- 質問役の人が、パートナーに質問をします。どんな質問をすれば良いか迷う場合は、この後に紹介する質問例を参考にしてみてください。
- 質問は一つずつ、一度にたくさんのことを聞かないようにしましょう。
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質問に答える:
- 質問された人は、自分の言葉で感じたことや考えたことを話します。上手に話そう、面白いことを言おうと気負う必要はありません。思ったこと、感じたことを素直に話してみましょう。
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相手の話を「聴く」:
- ここが最も大切なポイントです。質問役だった人も、答えている間は「聴く」に徹します。
- 相手の話を途中で遮ったり、評価したり否定したりせず、最後まで耳を傾けましょう。「うんうん」「なるほど」といった相槌や、相手の目を見て聞くことも、話しやすさにつながります。
- もし、相手の話にもっと興味が湧いたら、「それはもう少し詳しく聞かせてもらえますか?」といった形で、優しく尋ね返しても良いでしょう。
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交代または終了:
- 決めた時間が来たら、「今日の質問タイムはここまで」と終了するか、質問役と答える役を交代します。
- 交代する場合は、同じ手順(3〜5)を繰り返します。
質問例:何から話せばいい?
最初はどんな質問をしたら良いか難しいかもしれません。以下に、すぐに使える質問例をいくつかご紹介します。答えに詰まったり、答えにくい質問は「パス」しても大丈夫、というルールにしても良いでしょう。
- 「今日一日の中で、一番心が動いた瞬間はどんな時でしたか?」
- 「最近、何か新しく興味を持ったことや、試してみたいことはありますか?」
- 「子どもの頃の思い出で、ふと思い出すことはありますか?」
- 「最近読んだ本や見たテレビ、ニュースなどで、心に残っていることはありますか?」
- 「もし、自由に使える時間が3時間できたら、何をしたいですか?」
- 「パートナーのことで、最近『いいな』と思ったこと、感謝していることはありますか?」
- 「今日、嬉しかったことや楽しかったことは何ですか?(どんなに小さなことでも構いません)」
- 「最近、少し困っていることや、考えていることはありますか?(話せる範囲で大丈夫です)」
- 「これから二人で一緒にやってみたいことで、何か思いつくことはありますか?」
- 「自分自身のことで、最近気づいた変化はありますか?」
これらの質問はあくまで例です。お二人の関心や状況に合わせて、自由にアレンジしたり、新しい質問を考えてみたりしてください。日常の出来事や、過去の楽しかった思い出、これから挑戦してみたいことなど、話題はたくさんあります。
ワークを続けるためのヒントと注意点
- 無理強いしない: パートナーが乗り気でない場合は、日を改めるなど無理強いはせず、気軽に誘ってみましょう。「もしよかったら、少しだけお話しする時間を作らない?」のように柔らかく提案するのがおすすめです。
- 答えにくい質問はパスOK: 質問された側は、答えにくい質問には「パス」できる、というルールにしておくと、お互いに安心して参加できます。
- 「聴く」に集中する: 相手の話を評価したり、自分の意見を押し付けたりせず、「聴く」ことに意識を向けましょう。これは簡単なようで難しいですが、相手が安心して話せる関係を築く上で非常に重要です。
- 感謝を伝える: 質問タイムが終わった時に、「話してくれてありがとう」「聞いてくれてありがとう」と、お互いに感謝を伝え合うと、また次もやってみようという気持ちになります。
- 完璧を目指さない: 毎回スムーズにいくとは限りません。話が盛り上がらない時があっても落ち込まず、「今日はこんな感じだったね」と軽く受け止めましょう。継続することが大切です。
- 短い時間から習慣に: 最初は5分でも構いません。「寝る前に5分だけ」など、日常生活に取り入れやすい形で習慣にすると、自然と会話が増えていきます。
まとめ:質問タイムで、これからの二人をもっと豊かに
「質問タイム」は、お互いを深く理解し、会話を豊かにするためのシンプルながらも効果的なワークです。長い年月を共に過ごしてきたパートナーだからこそ、改めて問いかけ、耳を傾けることで、知らなかった一面や、忘れかけていた大切な気持ちに気づくことがあります。
このワークを通じて、お二人の間に流れる時間が、より温かく、心地よいものになることを願っています。ぜひ、パートナーと気軽に試してみて、これからの人生を共に笑い合い、支え合って過ごすための新しい一歩を踏み出してください。