関係性ワークショップ

日々の疲れを分かち合い、心身を労り合うパートナーワーク

Tags: 関係改善, パートナーシップ, 労い, 癒し, コミュニケーション, 夫婦関係, 高齢期

子供たちが成長し、家を巣立っていく。それは喜ばしいことである一方で、これまで子供を中心とした生活から、パートナーと二人で過ごす時間へと重心が移る大きな変化でもあります。

二人の時間が増えたのに、なぜか以前より会話が減ってしまった、何を話して良いか分からない、と感じる方もいらっしゃるかもしれません。長年連れ添ったからこそ、お互いのことは分かり合えていると思っていても、日々の疲れやちょっとした不調は案外伝えにくいものです。

これからの人生、パートナーと心穏やかに、そして楽しく過ごしていくためには、お互いを思いやり、日々の疲れを労り合う時間を持つことが大切です。

この記事では、ご自宅で気軽に、特別な準備なく実践できる、日々の疲れを癒し、労い合うためのパートナーワークをご紹介します。これらのワークが、お二人の関係性をより温かく、安心できるものにするための一助となれば幸いです。

ワーク1: 「お疲れ様」を伝える5分間ワーク

このワークは、一日の終わりに、お互いの頑張りを認め、労いの気持ちを伝え合うことを目的としています。

目的

一日の出来事や感じた疲れを分かち合い、相手への労いと感謝の気持ちを伝え合う習慣を作る。

必要なもの

特にありません。落ち着いて話せる場所と時間があれば十分です。

手順

  1. 落ち着ける時間を持つ: 一日の終わり、寝る前など、お互いがリラックスできる静かな時間を選びます。ソファに並んで座ったり、食後のリビングで向き合ったり、場所はどこでも構いません。
  2. まず一人が話す: まず、どちらか一方から話す番を決めます。話し手は、今日一日で「頑張ったな」「ちょっと疲れたな」「こんなことがあったんだ」と感じたことを、パートナーに話します。仕事のこと、家事のこと、近所のこと、何でも構いません。具体的な出来事でも良いですし、「今日はなんとなく疲れたんだ」といった漠然とした感情でも良いのです。長さは気にせず、思ったことを素直に話してみましょう。
  3. 聞き手は静かに耳を傾ける: 聞き手は、話し手の言葉にただ耳を傾けます。途中で口を挟んだり、アドバイスをしたり、感想を言ったりする必要はありません。ただ、「うんうん」と相槌を打ったり、優しく頷いたりしながら、相手の話を受け止めます。
  4. 労いの言葉を伝える: 話し終えたら、聞き手は話し手に対して「今日もお疲れ様」「大変だったね」「色々あったんだね」など、労いや共感の気持ちを込めた言葉を伝えます。「話してくれてありがとう」という感謝の言葉も添えると、より温かい雰囲気になります。
  5. 交代する: 今度は交代して、もう一人が話し手となり、同じように一日の出来事や感じたことを話します。最初の話し手が聞き手となり、静かに耳を傾け、話し終えたら労いの言葉を伝えます。
  6. 全体の時間: 全体で5分程度を目安に行ってみましょう。短時間でも、毎日続けることに意味があります。

期待される効果

このワークを行うことで、お互いの一日の様子に関心を持つようになります。また、労いの言葉を受け取ることで、日々の疲れが少し和らぎ、安心感を得られるでしょう。短い時間でも会話が生まれるきっかけにもなります。

ワークを行う上でのヒント

ワーク2: 心身リラックス「癒しのタッチ」ワーク(簡易版)

言葉で伝える労いに加えて、身体的な触れ合いは、言葉以上に安心感や癒しを与えてくれます。このワークは、難しい技術は一切必要ありません。

目的

言葉にならない心身の疲れを伝え合い、優しいタッチを通じてお互いを癒し、安心感を育む。

必要なもの

特にありません。必要であれば、ハンドクリームやマッサージオイルを少量使っても良いでしょう。

手順

  1. リラックスできる体勢に: お互いが楽な姿勢になれる場所を選びます。ソファにゆったり座る、ベッドに寝転がるなど、身体の力が抜ける体勢が良いでしょう。
  2. 優しく尋ねる: まず一人がパートナーに「どこか疲れているところはある?」「何か軽く触れてほしいところはある?」などと優しく尋ねます。
  3. 希望を伝える: 尋ねられた側は、もし疲れていると感じる場所や、軽く触れてほしい場所があれば伝えます。「肩が少し凝っているみたい」「手が冷たいから温めてほしい」「背中を優しくさすってほしい」など、具体的な場所や希望を伝えてみましょう。特に何も感じない場合は、「どこでも大丈夫だよ」「手を握ってくれるだけで十分」などと伝えても構いません。
  4. 癒しのタッチを行う: 希望を伝えられた側は、愛情を込めて、その場所を優しくタッチします。専門的なマッサージの技術は必要ありません。ただ優しく撫でる、軽く揉む、手を握る、といった簡単な触れ合いで十分です。時間は2〜3分程度で構いません。相手が心地よさそうにしているか、時々様子を見ながら行いましょう。
  5. 感謝を伝える: タッチが終わったら、タッチを受けた側は「ありがとう、気持ちよかったよ」「楽になった気がする」など、感謝の気持ちを伝えます。
  6. 交代する: 今度は交代して、同じように行います。

期待される効果

言葉にしにくい身体の疲れや不調を伝えやすくなります。また、優しく触れ合うことで、言葉だけでは伝わらない安心感や温かさが伝わり、お互いの絆が深まるのを感じられるでしょう。

ワークを行う上でのヒント

ワークを続けるためのヒント

まとめ

子供たちが独立し、パートナーと向き合う時間が増えた今、これまでの関係性を見つめ直し、これからの人生を二人で楽しく過ごすための関係を再構築することは、多くの方が直面する課題かもしれません。

今回ご紹介したワークは、日々の小さな疲れを労い合い、お互いを癒し合うことを通じて、言葉だけでなく心でも、そして身体でも寄り添うためのものです。特別な準備は必要ありません。ご自宅で、お二人のペースで、少しずつ試してみてください。

これらのワークを続けていくことで、お互いの日常への関心が高まり、安心感が深まり、そして何より、共に人生を歩むパートナーへの温かい気持ちが育まれることでしょう。

焦らず、無理なく、お二人の心地よいペースで、日々の暮らしの中に労いと癒しの時間を取り入れてみてください。それが、これからの人生をより豊かなものにする、小さな、しかし確かな一歩となるはずです。