言葉にすることで深まる絆 パートナーに「嬉しかったこと」を伝え合う簡単ワーク
パートナーとの時間、もっと心地よくするために
お子様が独立され、パートナーと二人で過ごす時間が増えたという方もいらっしゃるかと思います。これからの人生を共に歩む中で、お互いの存在をより深く感じ、心地よい関係を築いていきたいという願いをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一方で、長年一緒にいるからこそ、改めて何を話せば良いのか戸惑ったり、日常会話が少なくなってしまったりすることもあるかもしれません。会話が弾まないと感じる時、「このままで大丈夫だろうか」と少し不安になることもあるかもしれません。
関係性をより豊かにしていくためには、特別なイベントやプレゼントだけではなく、日々の小さな積み重ねが大切です。お互いの存在に感謝し、理解を深めるための穏やかな時間が、絆を強くしてくれます。
ここでは、自宅で手軽に実践できる「パートナーに『嬉しかったこと』を伝え合うワーク」をご紹介します。このワークは、デジタルツールを使う必要もなく、特別な準備もいりません。お互いの行動を通じて感じた喜びを言葉にすることで、日々の生活の中に隠れた温かい気持ちを再発見し、二人の関係をさらに深める助けとなるでしょう。
ワーク:パートナーに「嬉しかったこと」を伝え合う
このワークの目的は、パートナーが「あなたのためにしてくれた具体的な行動」に焦点を当て、それによってあなたが感じた「嬉しい」という気持ちを丁寧に伝えることです。これにより、お互いの行動がお相手にどのような影響を与えているかを知り、感謝の気持ちを明確に伝え合うことができます。
ワークの目的
- パートナーの普段の行動に対する感謝を具体的に伝える
- お互いの「嬉しい」と感じるポイントを理解する
- 日々の生活に隠れたポジティブな側面に気づく
- 会話のきっかけを作り、心の距離を縮める
必要なもの
- 特別なものは何もいりません。
- お二人で落ち着いて話せる、静かな時間と場所があれば十分です。
具体的な手順
このワークは、お互いに順番に話すだけという非常にシンプルなものです。難しく考えず、リラックスして試してみてください。
ステップ1:ワークを行う時間を決める
まずは、お二人で「このワークをやってみようか」と話し合い、行う時間帯を決めます。夕食後や、週末の少しゆったりした時間など、無理なく続けられそうな時間を選ぶのがおすすめです。一度に長くやる必要はありません。5分でも10分でも構いません。
ステップ2:最近「嬉しかったこと」を思い浮かべる
お互いに、最近パートナーに「してもらって嬉しかったこと」を一つか二つ思い浮かべる時間を持ってみましょう。大きな出来事である必要はありません。例えば、
- 体調を気遣って温かい飲み物を淹れてくれた
- 重い荷物を持ってくれた
- 自分の好きなテレビ番組に付き合ってくれた
- 何気ない時に褒めてくれた、ねぎらってくれた
- 頼む前に気づいて手伝ってくれた
- 自分の好きなもの(食べ物など)を買ってきてくれた
- ただ隣に座って静かに寄り添ってくれた
このように、日常の些細な出来事でも構いません。「そういえば、あの時嬉しかったな」と思い返してみてください。もしすぐに思いつかない場合は、「今日一日のことで何か嬉しかったことはあったかな?」と考えてみるのも良いでしょう。
ステップ3:順番に「嬉しかったこと」を伝える
お互いに準備ができたら、どちらからともなく順番に、思い浮かべた「嬉しかったこと」を伝えます。
ステップ4:具体的に、そして気持ちを込めて話す
伝える際は、「ありがとう」という感謝の言葉だけでなく、「どのような行動に対して、どのように嬉しかったのか」を具体的に話すことがポイントです。
例えば、「この間、私が疲れているときに、何も言わずにそっとお茶を入れてくれて、本当に嬉しかったよ。その優しさに心が温かくなったんだ。」というように伝えます。
- 「いつ(どんな状況で)」
- 「パートナーがどんな行動をしてくれたか」
- 「その行動を受けて、自分がどう感じたか(嬉しかった、助かった、安心した、心が温まった、など)」
この3つの要素を含めて話すと、相手に気持ちが伝わりやすくなります。
ステップ5:相手の話をじっくり聞く
話を聞く側は、相手の話を最後まで静かに聞きましょう。途中で口を挟まず、相手の目を見て、相槌を打ちながら聞くと、話している側は安心して気持ちを伝えられます。「そうだったんだね」「そういう風に感じてくれていたんだ」といった相槌は、聞いているサインになります。
ステップ6:お互いの気持ちを分かち合う
伝え終わった後、短い時間でも構わないので、お互いに「話してみてどうだったか」「聞いてどう感じたか」といった気持ちを共有してみましょう。「話せてスッキリした」「君がそう感じてくれていたと知って、私も嬉しい気持ちになった」など、率直な感想を伝え合います。
ワークを行う上でのヒントと工夫
- 完璧を目指さない: 最初は少し照れくさいかもしれません。上手に話せなくても大丈夫です。まずは試してみることから始めてみましょう。
- 小さなことから始める: 最初から大きな感謝を見つけようとせず、日常の本当に小さな「嬉しかったこと」に目を向けてみてください。
- 責めるような内容にしない: このワークはポジティブな側面に焦点を当てるものです。「〜してくれなくて残念だった」といった内容は避けましょう。
- 聞く姿勢が大切: 話すことと同じくらい、相手の話を心を込めて聞くことが重要です。
- 義務にしない: 毎日必ずやらなければ、と義務感を持つ必要はありません。週に一度や、気が向いた時にでも、お二人にとって心地よいペースで続けてみてください。
- 場所や雰囲気を工夫: 温かい飲み物を準備したり、少し照明を落としたりして、リラックスできる雰囲気を作るのも良いでしょう。
このワークがもたらす効果
この「嬉しかったこと」を伝え合うワークを続けることで、以下のような効果が期待できます。
- 日常のポジティブな側面に気づきやすくなる: 意識的に「嬉しかったこと」を探すようになるため、日々の生活の中に隠れた小さな幸せや感謝の種を見つけやすくなります。
- お互いの行動の意味を理解できる: パートナーが何気なくした行動が、自分にとってどれほど嬉しいことだったかを知ることで、お互いの優しさや思いやりを再認識できます。
- 感謝の気持ちが循環する: 感謝を具体的に伝えることで、伝えられた側も嬉しい気持ちになり、さらに相手に何かしてあげたいという気持ちが芽生えやすくなります。
- 安心感と信頼感が深まる: ポジティブな感情を共有することで、お互いへの安心感と信頼感が増し、絆が強くなります。
- 会話のきっかけが増える: 日常の具体的な出来事を話題にするため、自然と会話が増え、弾みやすくなります。
まとめ:これからを共に、温かい絆を育む
人生の次のステージにおいて、パートナーとの関係性をより深く、温かいものにしたいという願いは、とても素敵なものです。会話が弾まないと感じる時があっても、それは自然な変化かもしれません。大切なのは、その変化の中で、お互いを思いやる気持ちを伝え合う機会を持つことです。
今回ご紹介した「嬉しかったこと」を伝え合うワークは、そのための小さくも確実な一歩となるでしょう。難しい技術も、特別な準備もいりません。ただ、お互いの心に寄り添い、感謝の気持ちを言葉にして分かち合う時間を持つことから始めてみてください。
このワークを通じて、お二人の間に温かい信頼感が育まれ、これからの日々をより心地よく、共に楽しく過ごすための確かな絆が深まることを願っております。
「関係性ワークショップ」では、これからもパートナーとの関係をより良くするための様々なワークやエクササイズをご紹介していきます。ぜひ、お二人に合うペースで、色々な方法を試してみてください。