日々の『当たり前』を共有して、パートナーとの会話を増やす簡単ワーク
パートナーとの時間、何を話せばいい?
お子様が独立され、パートナーと二人きりの時間が増えた方もいらっしゃるかもしれません。これまでの子育て中心の生活から一転、新たな二人の日常が始まる中で、「さて、何を話そうか」と、ふと立ち止まることはありませんか。会話が弾まない、なんとなくぎこちない、そんな状況に「このままで大丈夫だろうか」と不安を感じることもあるかもしれません。
今後の人生を共に楽しく、心穏やかに過ごすためには、改めてお互いを理解し、会話のきっかけを増やすことが大切です。特別な趣味やイベントがなくても、日々の小さなことから会話を広げることは十分可能です。
この記事では、パートナーとの会話を増やすための簡単で心温まるワークをご紹介します。お互いの「当たり前」を知ることから始めて、二人の関係性を穏やかに、そして豊かにしていきましょう。
ワーク1:私の「当たり前」リストを作ってみる
このワークは、普段自分が無意識に行っていることや、当たり前だと思っている小さな習慣を改めて見つめ直し、言葉にしてみることから始まります。
目的 * 自分の日常や習慣を言語化し、相手に伝えやすくする。 * 自分自身の「当たり前」が、実は当たり前ではないことに気づく。
必要なもの * 紙(ノートや便箋など、書きやすいもの) * ペン
手順
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テーマを決める: まず、「当たり前」をリストアップするテーマを一つ決めます。最初は、より身近で答えやすいテーマから始めましょう。いくつか例を挙げます。
- 朝起きて最初にすること
- よく飲む飲み物とそのタイミング
- 休憩したいときにすること
- 気分転換の方法
- 好きな家事や苦手な家事
- ついつい見てしまうテレビ番組やYouTubeチャンネル
- リラックスできる時間帯や場所
- 寝る前にすること
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「当たり前」を書き出す: 決めたテーマについて、ご自身の「当たり前」だと感じていること、無意識にやっていること、習慣になっていることを、思いつくままに3~5つ程度書き出してみましょう。
- 例:「朝起きて最初にすること」なら、「すぐに顔を洗う」「まず白湯を飲む」「新聞を取りに行く」「ストレッチをする」など。
- 考えすぎず、素直に書き出してみるのがポイントです。
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リストを見直す: 書き出したリストを眺めてみましょう。改めて言葉にしてみると、「そういえば、これを毎日やっているな」と気づくことがあるかもしれません。
期待される効果 ご自身の日常を客観的に捉え直す良い機会になります。また、言葉にすることで、次にご紹介するワークでパートナーと共有しやすくなります。
ワーク2:パートナーの「当たり前」を想像し、共有する
ワーク1でご自身が作った「当たり前」リストを使い、今度はパートナーの「当たり前」について想像を巡らせ、そして実際に話し合ってみましょう。
目的 * パートナーの日常や習慣に関心を持つ。 * 想像と現実のギャップから会話のきっかけを見つける。 * お互いの日常への理解を深める。
必要なもの * ワーク1でご自身が作った「当たり前」リスト * (任意)紙とペン:パートナーの「当たり前」を想像して書き出したい場合
手順
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パートナーの「当たり前」を想像する(任意): ワーク1で選んだテーマについて、「パートナーならどうだろう?」と想像してみましょう。もし可能であれば、想像したことを紙に書き出してみるのも面白いかもしれません。意外と知らないことが多いことに気づくかもしれません。
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互いのリストを見せ合う: パートナーと向き合い、ワーク1でご自身が作ったリストを見せ合いましょう。可能であれば、パートナーにも同様にリストを作ってもらうと、より会話が弾みます。
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感想や質問を伝え合う: 互いのリストを見て、感じたことや質問したいことを言葉にしてみましょう。
- 「へぇ、そうだったんだ!」
- 「これ、意外だったな。なぜ?」
- 「あ、これは私も同じ!」
- 「いつからそれをやるようになったの?」
否定的な言葉ではなく、「知りたい」「興味がある」という気持ちを伝えるように話すのが大切です。相手の話をじっくり聞きましょう。
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話し合いを深める: リストの内容だけでなく、それにまつわるエピソードや、そうする理由などを話し合ってみましょう。日常の何気ない行動の裏にある考えや気持ちを知ることで、パートナーへの理解がより深まります。
期待される効果 相手の日常への関心が高まり、「知りたい」という気持ちが生まれます。想像と違う点があれば、「なぜ?」という疑問が生まれ、それが自然な会話のきっかけになります。お互いの小さな習慣や考え方を知ることで、「この人はこういうことを大切にしているんだな」といった気づきがあり、理解が深まります。
ワーク3:二人で作る新しい「当たり前」(発展編)
ワーク1と2で、ご自身やパートナーの「当たり前」について話しました。お互いの日常を少し深く知った上で、これから二人の新しい「当たり前」、つまり「心地よい習慣」を一緒に作ってみませんか。
目的 * お互いの希望やペースを考慮した、二人の共通の習慣を作る。 * 一緒に楽しめる時間や機会を増やす。 * 今後の二人の日常をより豊かにする。
必要なもの * (任意)紙とペン:話し合った内容を書き留めておきたい場合
手順
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「一緒にやってみたい」を話し合う: ワーク2の話し合いの中で、「これ、二人で一緒にやってみたら楽しそう」「こういう時間をもっと作れたらいいね」と感じたことがあれば、それを掘り下げて話し合ってみましょう。あるいは、全く新しいことで、「これから二人で始めてみたい心地よい習慣」について考えてみましょう。
- 例:「毎朝、一緒にラジオ体操をしてみる」「週に一度、決まった時間に近所を散歩する」「寝る前に、今日あった良いことを一つずつ話す」「お互いの好きな飲み物を準備して、一緒にホッと一息つく時間を作る」など。
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具体的に計画する: 一緒にやってみたいことが決まったら、それを二人の新しい「当たり前」にするために、具体的にいつ、どこで、どのように行うかを話し合って決めます。無理のない範囲で、まずは小さなことから始めるのが成功の秘訣です。
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まずは試してみる: 決めたことを、まずは数日間、あるいは数週間試してみましょう。やってみて気づいたことや、感じたことがあれば、また二人で話し合い、必要に応じて調整していきます。
期待される効果 共通の楽しみや、一緒に過ごす質の高い時間が増えます。二人で協力して何かを作り上げる喜びを感じられます。新しい習慣が定着すれば、それが自然な会話のきっかけにもなります。
ワークを行う上でのヒント
- リラックスできる時間を選ぶ: 疲れているときや時間がないときに行っても、良い話し合いになりにくいかもしれません。心身ともに落ち着いて話せる時間を選びましょう。
- 「正解」はないと心得る: このワークの目的は、お互いを知り、会話を増やすことです。リストの内容に「正しい」「間違っている」はありません。パートナーの考えや習慣を、そのまま受け止める姿勢が大切です。
- 相手の話を「聞く」ことに集中する: ご自身のリストを伝えるのも大切ですが、パートナーが話しているときは、相槌を打ったり、「なるほど」「そうなんだ」と伝えたりしながら、最後までじっくり聞くことに意識を向けましょう。
- 完璧を目指さない: 一度にたくさんのことを知ろうとしたり、すべてのテーマについて深く話し合おうとしたりする必要はありません。一つのテーマでも、短い時間でも構いません。まずは気軽に始めてみましょう。
- 楽しむ気持ちを大切に: これは義務ではなく、二人の関係をより良くするための楽しい時間です。構えすぎず、ゲームを楽しむような気持ちで取り組んでみてください。
- 定期的に続けてみる: 一度きりではなく、例えば月に一度など、定期的にこのワークを行う時間を持つことで、変化するお互いの日常や気持ちを共有し続けることができます。
まとめ
お子様が独立され、人生の新しいステージを迎えた今、パートナーとの関係性を改めて見つめ直し、再構築することは、今後の人生を心豊かに過ごすために非常に重要です。
今回ご紹介した「当たり前」を共有するワークは、日々の小さなことに目を向け、それをきっかけに会話を増やすためのシンプルな方法です。お互いの日常を少し深く知ることで、共感したり、新しい発見があったりするでしょう。その一つ一つが、きっとお二人の心の距離を縮め、関係性を穏やかに、しかし確実に深めてくれるはずです。
特別な準備やスキルは何もいりません。紙とペン、そしてパートナーと話したいという少しの気持ちがあれば始められます。まずは、お互いの「当たり前」から、新しい会話の扉を開いてみませんか。
このワークが、お二人の今後の人生における、たくさんの笑顔と心地よい時間のきっかけとなれば幸いです。