今日の「小さな発見」をパートナーと分かち合うワーク
「子供たちが独立して、夫婦二人の時間が増えたけれど、何を話したらいいか分からない…」
もしかすると、今、あなたも同じような気持ちでいらっしゃるかもしれません。長年連れ添ったパートナーと、改めて向き合う時間が増えたとき、かつてのように自然な会話が弾まないことに寂しさを感じる方もいるかもしれません。
でも、心配しないでください。会話が少なくても、お互いの心を通わせ、これからの人生をより豊かに過ごすための方法はたくさんあります。大切なのは、「話さなければ」と気負うことではなく、お互いの存在を再認識し、日々の小さな出来事や感情を穏やかに分かち合うことです。
ここでは、特別な準備やスキルは一切不要で、ご自宅で気軽に始められる簡単なワークやエクササイズをご紹介します。これらのワークは、お二人の日常に新たな視点をもたらし、自然な形で心を通わせるきっかけとなるでしょう。
ワーク1:今日の「小さな発見」共有ワーク
このワークは、日常生活の中であなたが気づいたこと、パートナーが気づいたことを共有し合うものです。特別な出来事でなくても構いません。ほんの些細なことでも、お互いの目に映る世界を少しだけ共有することで、会話が生まれることがあります。
- 目的: 日常の中の「小さな発見」を共有することで、お互いの興味関心や気づきを再認識し、会話のきっかけを作る。日常に意識的に目を向ける習慣を養う。
- 必要なもの: 特になし。メモを取りたい場合は、紙とペンをご用意ください。
- 所要時間: 5分〜10分程度
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具体的な手順:
- お二人で、毎日「このワークをする時間」を決めましょう。夕食後や寝る前など、お二人が落ち着いて話せる時間が良いでしょう。
- 一人ずつ、今日一日の中で「小さな発見」や「へえ、と思ったこと」「面白いなと感じたこと」を一つか二つ思い出してみます。
- 例:
- 近所の道端に、知らなかった花が咲いていた。
- テレビのニュースで、面白い言葉を聞いた。
- 今日作った料理に、いつもと違う調味料を使ったら美味しかった。
- スーパーで珍しいものを見かけた。
- 空の色がとても綺麗だった。
- 例:
- 順番に、パートナーにその「小さな発見」について話します。話す際は、「何を発見したか」だけでなく、「なぜそれが小さな発見だったのか」「それを見て(聞いて)どう感じたのか」も少し添えて話してみましょう。
- 相手の話を聞くときは、ただ耳を傾けます。途中で話を遮ったり、否定的な意見を言ったりするのは控えましょう。「そうなんだね」「それは面白いね」のように、共感を示す言葉を添えるのは良いことです。話を聞いて気になったことがあれば、質問しても構いません。
- お互いに話し終わったら、「今日はこんな発見があったね」など、短い感想を言い合っても良いでしょう。
-
期待される効果:
- お互いが普段、どんなものに興味を持ち、何に気づいているのかを知ることができます。
- 「話すことがない」と感じていても、日常の中に会話の種がたくさんあることに気づけます。
- ポジティブな側面に目を向ける習慣がつきます。
- 短い時間でできるため、毎日続けやすいです。
ワーク2:二人の「好き」を交換ワーク
このワークは、お互いの「今、好きなこと」「最近興味があること」を共有するものです。長年一緒にいても、相手の好みが変わっていたり、新しい趣味や関心が生まれていたりすることはよくあります。それを改めて知る良い機会になります。
- 目的: お互いの現在の好みや興味を改めて知り、会話のきっかけや、一緒に楽しめることのヒントを見つける。
- 必要なもの: 紙とペン
- 所要時間: 15分〜20分程度
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具体的な手順:
- お二人それぞれ、紙を用意し、最近「いいな」と思っているもの、好きなこと、興味があることをいくつか書き出してみましょう。いくつ書くか決めなくても良いですし、3つ程度と決めても良いでしょう。
- 例:
- 最近よく聴いている音楽やアーティスト
- 好きな食べ物や飲み物、お店
- 最近読んだ本や見ているテレビ番組
- 行ってみたい場所ややってみたいこと
- 気になるニュースや話題
- 好きな色や物
- 例:
- お互いのリストを交換します。
- 交換したリストを見ながら、相手が書いた内容について質問したり、感想を伝えたりします。「〇〇が好きなんですね、知らなかったです」「〇〇、私も気になっていました」など、会話を広げてみましょう。相手の好みを否定せず、「へえ、そうなんだ」と受け止める姿勢が大切です。
- リストの中から、もしあれば「二人で一緒に試してみたいこと」を一つか二つ見つけてみましょう。例えば、お互いの好きな音楽を一緒に聴いてみる、相手がおいしいと言っていたお店に行ってみる、などです。具体的な計画まで立てなくても、「今度やってみようか」と話すだけでも構いません。
- お二人それぞれ、紙を用意し、最近「いいな」と思っているもの、好きなこと、興味があることをいくつか書き出してみましょう。いくつ書くか決めなくても良いですし、3つ程度と決めても良いでしょう。
-
期待される効果:
- パートナーの意外な一面を知ることがあります。
- 共通の話題や、二人で楽しめる新しいことを見つけるヒントになります。
- お互いをより深く知ろうとする姿勢が、関係性を深めます。
ワーク3:小さな感謝を伝え合うワーク
このワークは、日常の中でパートナーに対して感じた感謝の気持ちを、言葉にして伝え合うシンプルなものです。長年一緒にいると、相手がしてくれることに対して「当たり前」と感じてしまいがちですが、一つ一つに感謝することで、お互いの存在がより尊く感じられるようになります。
- 目的: 日常の当たり前になりがちな相手への感謝を意識し、言葉にして伝えることで、お互いを大切に思う気持ちを育む。
- 必要なもの: 特になし。
- 所要時間: 5分程度
-
具体的な手順:
- 毎日、寝る前など静かな時間にお二人で向き合います。
- お互いに、今日一日の中でパートナーに対して「ありがとう」と思ったことを一つずつ思い出してみましょう。大きなことでなくて構いません。
- 例:
- 朝、コーヒーを淹れてくれた。
- 重い荷物を持ってくれた。
- 疲れているときに、優しい言葉をかけてくれた。
- 私の好きなテレビ番組を一緒に見てくれた。
- ただそばにいてくれた。
- 例:
- 順番に、相手に対して感謝していることを伝えます。伝える際は、「ありがとう」だけでなく、「〜してくれてありがとう」のように、何に対して感謝しているのかを具体的に添えるのが効果的です。「〇〇してくれて、私は嬉しかったです」のように、自分の気持ちを伝えるのも良いでしょう。
- 感謝された側は、「どういたしまして」と応じたり、「そう思ってくれて嬉しい」と気持ちを伝えたりします。
-
期待される効果:
- 日常にポジティブなやり取りが増えます。
- お互いを大切に思う気持ちが強まります。
- 自己肯定感や相手への信頼感が高まります。
ワークを続けるためのヒント
- 完璧を目指さない: 毎日続けられなくても、数日おきでも構いません。「やらなければ」と義務にせず、できるときに、無理のない範囲で試してみましょう。
- 短い時間でOK: 各ワークの所要時間は目安です。お二人のペースに合わせて調整してください。短時間でも、続けることが大切です。
- 楽しむ気持ちを大切に: ワークを通して、パートナーの新しい一面を発見したり、クスッと笑い合ったりすることを楽しむ気持ちを持つと、自然と続けられます。
- お互いを尊重する: ワーク中に出てきた相手の考えや気持ちを尊重しましょう。意見が違っても否定せず、「そういう考え方もあるんだね」と受け止めることが、安心して心を開くために重要です。
まとめ
子供たちの独立は、夫婦にとって新たな章の始まりです。かつての忙しさが一段落し、お二人の時間が増えた今だからこそ、改めてお互いに目を向け、関係性を深めていく素晴らしい機会とも言えます。
ご紹介したワークは、どれもシンプルで、すぐに始められるものばかりです。これらのワークを通して、会話が自然に生まれたり、お互いの温かい気持ちを再確認したりする時間が増えることを願っています。
焦る必要はありません。お二人のペースで、一つずつ試してみてください。そして、もし難しさを感じたり、うまくいかないことがあったりしても、それもまたお二人で乗り越えていくための一歩です。
これからの人生、パートナーと心を通わせながら、穏やかで楽しい時間をたくさん育んでいかれることを応援しています。