『大切なモノ』を通じて関係を豊かに パートナーと語り合うワーク
パートナーとの会話、最近弾んでいますか?
お子様が独立され、パートナーと過ごす時間が増えたという方もいらっしゃるかもしれません。これから二人でどのように日々を過ごしていくか、考える時間が増えた方もいるでしょう。
長年連れ添ったパートナーですから、お互いのことはよく分かっている、そう思っているかもしれません。しかし、日々は少しずつ変化していきます。ご自身の関心事や価値観も、知らず知らずのうちに変わってきているのではないでしょうか。それはパートナーも同じです。
もしかしたら、以前ほど会話が弾まなくなった、何かぎこちない時間が増えた、と感じることもあるかもしれません。これからの人生を、これまで以上に心豊かに、そして共に楽しく過ごすために、今一度お互いの心に寄り添い、関係を再構築していくことはとても価値のあることです。
ここでは、そんな想いをサポートする、簡単で心温まるワークをご紹介します。特別な準備は何もいりません。ご自宅で、お二人のペースで実践できます。
『大切なモノ』を語り合うワークのご紹介
このワークは、お互いが「大切にしているモノ」について語り合うことを通じて、普段の会話ではなかなか出てこない相手の一面や、そのモノにまつわる思い出、価値観を知ることを目的としています。モノを通して語られるエピソードには、その人の歴史や感情が詰まっています。
目的:
- 普段と違う話題で会話のきっかけを作る
- パートナーの知らなかった一面や、思い出、価値観を知る
- お互いの「大切」を理解し、尊重する気持ちを育む
- 共に過ごす時間の中に、心地よい会話の時間を増やす
必要なもの:
- 特別な道具や材料は必要ありません。
- お二人がリラックスして話せる静かな環境。
- 語り合うための少しの時間(まずは30分程度から)。
ワークの具体的な手順:
このワークは、お二人で交互に語り手と聞き手になります。
ステップ 1: ワークの時間を決める
まず、お二人で「このワークをしてみよう」と話し合い、いつ、どれくらいの時間行うかを決めます。例えば「今日の夕食後に30分だけ話してみようか」というように、お互いの都合の良い時間を選んでください。無理なく続けられるように、短い時間から始めるのがお勧めです。
ステップ 2: 各自で「大切なモノ」を一つ選ぶ
ワークを始める前に、それぞれが「自分が今、大切にしているモノ」を心の中で一つ選んでおきます。実際にそのモノを目の前に持ってきても良いですし、心の中で思い浮かべるだけでも構いません。
「大切なモノ」とは、必ずしも高価なものである必要はありません。若い頃から使っている日用品、趣味で集めているもの、誰かにもらったプレゼント、思い出の品、最近お気に入りになった物など、何でも構いません。「なぜか気になる」「これがあると落ち着く」「これにまつわる思い出がある」といった、心惹かれるモノを選んでみてください。
ステップ 3: 一人が「大切なモノ」について語る
準備ができたら、まずどちらか一方が、自分が選んだ「大切なモノ」について語り始めます。
語る際には、以下のようなことを話してみると良いでしょう。
- それはどんなモノですか?
- いつ、どのようにしてあなたの手元に来ましたか?
- なぜそれを大切にしているのですか?(理由やきっかけ)
- それにまつわる思い出やエピソードはありますか?
- それを見るたびに、どんな気持ちになりますか?
- あなたにとって、そのモノはどのような存在ですか?
話すスピードはご自身のペースで構いません。感じていること、考えていることを、率直に言葉にしてみてください。
ステップ 4: もう一人はじっくりと耳を傾ける
語り手のパートナーは、その話をじっくりと、そして興味を持って聴いてください。途中で話を遮ったり、「そんなモノのどこが良いの?」のように否定的な言葉を挟んだりせず、相手の話に耳を澄ませます。
相手が何を大切にしているのか、なぜそれを大切に思うのか、どんな背景があるのか、ということに心を寄せながら聴いてみましょう。
ステップ 5: 質問をする(任意)
語り手が話し終わったら、聞き手だった方が質問をしても良いでしょう。「それはいつ頃のことだったの?」「その時、どんな気持ちだったの?」など、話をより深く理解するための質問は歓迎です。
ただし、相手を問い詰めるような質問や、価値観を否定するような質問は避けてください。あくまで、相手の話への関心を示すための質問を心がけましょう。
ステップ 6: 役割を交代する
一通り語り終え、質問の時間も終わったら、今度は役割を交代します。聞き手だった方が語り手となり、自分が選んだ「大切なモノ」について語ります。相手はじっくりと耳を傾けます。
ステップ 7: 感想や気づきを共有する(任意)
お互いの話を聴き終えた後、もし時間があれば、今回のワークを通じて感じたことや気づいたことを簡単に共有する時間を持つのも良いでしょう。「〜さんの話を聞いて、あの時のことを思い出したよ」「〜さんが、あのモノをそんなに大切にしていたなんて知らなかった。意外だったけど、話を聞いて納得したよ」といった感想を伝え合うことで、より理解が深まります。
ワークを続けるためのヒント
- 完璧を目指さない: 最初から上手に話せなくても、うまく質問できなくても大丈夫です。まずはお互いの話に耳を傾けることから始めてみましょう。
- 「安全な場」を作る意識を持つ: 相手の話を批判したり、否定したりしないという約束を、暗黙のうちに、あるいは言葉にして共有しておくと、安心して話せるようになります。
- 小さなことから始める: 最初はたった一つのモノから。慣れてきたら、「大切にしている場所」「大切にしている時間」など、テーマを広げていくのも良いでしょう。
- 日常の会話につなげる: ワークで話した内容が、後日の日常会話のきっかけになることがあります。「そういえば、前に話してくれたあのモノのことだけど…」といったように、会話を広げてみてください。
まとめ:心地よい二人の時間のために
この『大切なモノ』を語り合うワークは、形式ばらずに、お互いの内面に触れることができる優しい時間です。長年一緒にいるからこそ、改めて知る相手の心や、忘れていた自分自身の気持ちに気づくこともあるでしょう。
このワークを通じて生まれた会話が、お二人の間に新しい風を運び、関係性をより豊かなものにしてくれることを願っています。これから始まるお二人の時間を、心温まる会話とともに、どうぞ大切に育んでいってください。